傾聴

これまでに一度だけ、傾聴してもらったことがあります。20年以上も前のことです。その人のことは以前から知っていましたが、じっくりと話したことはありませんでした。友人の家でのパーティで一緒になり、その後、話をするようになりました。遠くから見ていた時は、その人はせっかちで自分もよく喋る人という印象でした。

ある時、私のこれまでの話になりました。その人は黙って、辛坊強く、時折相槌を打ちながら、「そう、、、」「へえ、、、」「大変だったんだね、、、」と、一切の判断や解釈をすることなく、さりとて無関心で形式的に合いの手を入れているのでもなく、私の話に関心を寄せていると感じられる相槌で、話を聞いていました。結局、話し終わったのは4時間あまりも後のことでした。

自分の話を遮られることもなく、自分がもう話し終わりました、もう満腹です、と納得するまで聞いてもらったことは多分初めてでした。あれが傾聴というものだったのかもしれません。

幸せな体験をしたのだな、と思いました。きちんとお礼も言わないまま疎遠になってしまいましたが、連絡をとってみようかな、という気持ちになりました。そして、私も他の誰かに同じことをして、当時の分のお返しをしなければいけないな、と心に決めました。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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