過酷な職場で起きること
産業医として働いていると、本当に過酷な職場に出会うことがあります。異常に短い納期、過大なお客様の要求、はじめから無理なスケジュール。当然のように次々と体調を崩す人が出て、離脱した人の分を周りがカバーし、また誰かが倒れていく——負の連鎖です。
そして、その辛さのはけ口として、ハラスメントも増えていきます。こういうとき、ハラスメントをした上司をただ糾弾して終わりでは無意味なんですね。その上司自身も、心身ともにギリギリの状況に置かれていることが、少なくないからです。
ハラスメントの裏にある「報酬」
とはいえ、ハラスメントが許されるわけではありません。困るのは、必ずエスカレートしていくこと。ではなぜ、エスカレートするのでしょう。
ズバリ、報酬があるからです。
叱る・マウントを取る・ハラスメントをするというのは、言葉を選ばずに言えば、手っ取り早く相手を支配する方法のひとつ。子どもの頃、叱られてシュンとなった記憶はありませんか。元気だったのに、叱られた瞬間にシュンとなる——あの「相手が自分の思い通りになる」瞬間に快感を覚える人がいて、それが強い報酬になるのです。
そしてそれが正当化されやすいのが、学校や職場。「教育のため」「部下の成長のため」という名のもとに、です。
「おっかないからやめる」では本末転倒
ここで難しいのは、ハラスメントを恐れるあまり、注意すべきことすら言えない人が増えていること。それは、それで職務怠慢です。注意はしなくちゃいけない。でも、相手を威嚇する必要はまったくありません。
おっかないから、その行動をやめる——これは、学校も職場も本当に求めている「自分の頭で考え、行動できる人」とは、まるで正反対の姿だからです。
指導する人こそ、余裕を
人は余裕をなくすと、手っ取り早く相手を従わせたくなります。だからこそ、指導する側の人間こそ、意識して余裕を持っていたいのです。
もし思い当たることがあれば、「相手を思い通りにする報酬が、自分のなかで麻薬のようになっていないか」と、そっと自分に問いかけてみてください。その問いを持てること自体が、大切な一歩なのだと思います。
こちらの本も参考になるかもしれません。

こういう、職場で役立つコミュニケーションの事例をメルマガで読みたいと思った方は、下段の子ども社長をクリックしてメルマガに登録を!


