研修で「聴く」ロールプレイをすると、よく見かける光景があります。
話し手役の芹沢さん(仮名)が、職場で困っていることを話し始めます。聴き手役の角田課長(仮名)は、最初はうんうんと頷いている。ところが、しばらくすると目線が少し宙に浮き、頷きがリズムだけになってくる。
ロールプレイのあと、芹沢さんに感想を聞くと、こんな答えが返ってきました。
笑いながら「途中から、課長は私の話を聞いていないなと思いました」
角田課長はびっくり。「いや、ちゃんと聞いていましたよ。どうアドバイスしようか、ずっと考えていたんです」
そう、まさにそれなんですね。
頭の中でぐるぐる
あなたも、話を聴いているときにこんなことありませんか?
「こうすれば良いのに」と考えが浮かび、教えたくなる。 「だから言ったのに」と上から目線になる。 「それじゃあうまくいかないよ」と心の中で批判する。
そして、「よし、次はこれを言おう」と頭の中で準備を始める。準備に忙しくなるほど、相手の話は耳に入ってこなくなります。頭の中のおしゃべりが、相手の声をかき消してしまうわけです。
あなたが考えていることは、正しいのかもしれません。でも、問題はそこではないんですよね。
言わなくても伝わってしまう
口に出さなくても、それ、表情に出ていますよ。
目線、頷き方、相槌のタイミング、ちょっとした眉の動き。人は言葉以外の情報(非言語情報)から、相手の本音を驚くほど敏感に感じ取ります。
「ああ、この人は私の話より、自分の言いたいことのほうが大事なんだな」
そう感じた相手は、どう思うでしょう?
「言わなきゃよかった」 「もう、この人に話すのはやめておこう」
そこへ、待ってましたとばかりに飛び出すアドバイス。どんなに正しい内容でも、相手の心には届きません。
あなたも、誰かに話を聞いてもらおうとして、同じような思いをしたことはありませんか?
十分に聴く、それだけでいい
話を聴くと決めたら、自分の中の「教えたい・影響を与えたい・批評したい・評価したい」という気持ちは、いったん横に置きましょう。
次に何を言うかは、考えなくて大丈夫です。相手が話し終えるまで、ただ十分に聴く。それだけでいいんです。
不思議なもので、最後まで聴いてもらえたと感じると、人は自分で答えを見つけ始めることが多いものです。アドバイスが必要なら、そのあとで「私の考えも話していいかな?」と聞けば十分間に合います。
次に誰かの話を聴くとき、頭の中で「次は何を言おう」が始まったら、そっと手放してみてくださいね。
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