益子さん(仮名)はエンジニア。物静かで真面目、任された仕事はきっちり仕上げる人です。
そんな益子さんと出会ったのは、益子さんが体調に異変を感じたときでした。プロジェクトに遅延が発生し、益子さんのチームは昼夜を問わず遅れを取り戻そうとしていたのです。
話を聴いていると、益子さんがこう言いました。
「真面目っていいことなんでしょうけれど、こうやって体調を崩してはチームに迷惑をかけちゃうんですね。これからはもう少し手抜きして、適当に生きていこうと思います」
とても大切な気づきです。でも、私はこういう言葉を聞いたら、すかさず突っ込むようにしています(笑)。
「益子さんが考える『手抜き』『適当に生きる』って、具体的にはどうすることですか?」
「変わります」はスタート地点にすぎない
いちいち言葉に引っかかる、うるさいやつだなあ、と思われているかもしれませんね(笑)。理由は二つあります。
一つ目は、同じ「適当」という言葉でも、思い浮かべることは人によって大きく違うからです。そこをちゃんと確認しておきたいんですよね。
二つ目は、言っている本人にも、具体的に何をするのかがはっきりしていないことが多いからです。
「変わります」と決意するのは簡単です。でも、長年続けてきたやり方を変えるのは、思っている以上に難しいもの。気合いだけでは、たいてい元のやり方に戻ってしまうんですよね。
だからこそ、具体的にどう行動するのか、どんな仕組みを作るのかを言葉にすることが大切なんです。言葉にできて初めて、行動が変わっていくわけです。
自分らしさを捨てなくていい
益子さんは、ていねいに「適当に生きる」の中身を教えてくれました。それは、世間で思われている「手抜き」とは大きく違うもの。益子さんの良さはそのままに、チームメンバーの成長にもつながりそうな内容でした。
もし、ここで突っ込まずにいたら、どうなっていたでしょうか?
たとえば、これまで100%以上の完成度で仕上げていたものを、「これからは50%で出します」と決めたとします。速さこそ命!という信念の人なら、それもできるでしょう。でも、益子さんが同じことをしたら、ストレスがたまるだけ。せっかくの良さも損なわれてしまいます。
変わらねばと思うあまり、自分らしさをかなぐり捨てて別人になろうとする。これは、たいていうまくいきません。それどころか、自信をなくしたり、挫折感につながったりすることもあるんですね。
「それってどういうこと?」と一言聞いてみる
案外、「変わります」宣言だけで終わってしまうことは多いものです。
だから、もう一歩突っ込んで「で、具体的には何をすること?」と聞いてみる。その一言が、その人らしい変化を後押しすることになります。
あなたも、誰かの「これから変わろうと思います!」を聞いたら、「それってどういうこと?」と一言聞いてみませんか?
もちろん、ご自身の「変わります」宣言にも、ですね。
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