フィードバックは自分の鏡

あなたは自分の考え方の癖、コミュニケーションの癖を自分で把握できていますか?指摘されて初めて気づくことって多いですよね。それも、「そんなふうに見えているの!」ということも多い。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

自分の録音された声にびっくり!なぜ?

録音された自分の声を聞いて「私の声ってこんな感じなの?嘘でしょ!」と思ったことありませんか。自分が自分の耳を通して聞く自分の声と、録音を通して聞く声の違いにびっくり仰天しますよね。

実はそれくらいあなたが認識しているあなた自身と他者が認識するあなたには乖離があります。そしてあなた一人の力でその乖離を埋めることは難しい。なぜなら、あなたにとってはあなたの耳を通じて聞こえているあなたの声が真実だから。他の選択肢など思いもよらない訳です。

その乖離を埋めるのが他者からのフィードバックです。

フィードバックとは?

フィードバックという言葉はいろいろな場面で、異なった意味合いで使われています。職場では、上司からの指摘をすべてフィードバックという場合もあります。しかし、コーチング的な関わりにおいては、フィードバックとは「コーチがクライアントから感じたことや事実をそのまま伝える」ということを指します。

例えば目標に向かって進んでいくことを阻害する、クライアントがついついしてしまう言動や考え方があったとします。「ああ、また元の言動になっているな。これでは目標からズレていってしまうな」と思ったら、「また元の考え方のくせに戻っているように見えます」と伝えるのがフィードバックです。クライアントはそう言われて初めて軌道修正へと動き出します。

フィードバックは鏡のようなもの

あなたがもし無人島で暮らしているとして、どうやって自分の顔の構造、目が2つあって、目と目の間に縦に鼻があって、鼻の下に口が横に一文字についているということを理解しますか?

一つは水面にあなたを写してみて知るという方法があります。ちょうど小さな子どもが初めて鏡に映る自分を見てびっくりしたあと、徐々に自分の姿を受け止めていく過程に似ていますよね。

もう一つはあなたと同じ姿をした人間を見て、お互いに相手の姿を伝え合うことによって「ああ、あなたは目の前のこの人と同じ、目が2つあって、目と目の間に縦に鼻があって、鼻の下に口が横に一文字についているんだということを理解します。この場合は目の前の人があなたの鏡の役割を果たしていることになります。

この、お互いに相手の姿を伝え合うこと=フィードバックです。フィードバックはあなた自身を知る手段なのです。

フィードバックをする際に注意すること

フィードバックをする際に注意したいことがあります。あなたは「フィードバックは事実を伝えるもの。そこには良いも悪いもない」と思っていたとしても、相手も同じ定義でフィードバックという言葉をとらえているかどうかはわかりません。

フィードバックを否定されたと捉える人も中にはいます。というより、わたしたちは否定と捉える傾向があると言ったほうが正しいかもしれません。

心がけたいのは2つ。

1つ目は「私はこう思います」という、いわゆる「I-メッセージ」で伝えるということです。他の人はどうかはわかりませんが私にはこう見えています、と伝えるということ。

2つ目はフィードバックをしたあとに、相手がそのフィードバックを受けてどう感じたか、聞いてみるということ。「ああ、そういう視点もあったか」と思う場合もあれば、「いや、ちょっとそう言われてもピンとこない」という場合もあるはず。そこからまた対話が始まります。

フィードバックをして、あるいはフィードバックを受けることにより互いの自分をより深く知ることになります。そういう意味で「フィードバックは自分の鏡」なのです。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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