こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。
傾聴に関する私の経験です。
ある女性のクライアントさんはいろいろな悩みを抱えていて、精神的に安定しませんでした。セッションの後、夫から私とのセッションの内容に逐一ダメ出しが出るようで、夫の言葉に影響を受け、セッションの中で今後の行動計画を立てても白紙に戻ってしまうのでした。
そんなことが何度も続いて、全く前進しないだけでなく精神的にも良い影響がないと判断し、私は次のセッションにはカップルで来てもらいました。
夫の方はすでに部屋に入るときから、緊張感からか話が止まりませんでした。
挨拶をした後、夫が「今日は言いたいことがたくさんありますよ」と勢い込んで言うので、私は「どうぞ、お聴きしますよ」と答え、夫の話をじっと傾聴しました。
セッション前は、このセッションは非常に厳しいものになるだろうと私も緊張していました。でも、黙って相手の話を聴いているうちに私の気持ちが落ち着いてきました。相手がなにに引っかかりを感じているのかも落ち着いて分析できました。
一方の夫の方は緊張をしながら話をしているので、だんだん話が止まらなくなり、落とし所も掴めなくなっていきました。
結局、私のほうが状況を落ち着いて捉えられたので、ひとしきり話を聴いた後、建設的に話を進めていくことができ、最後には友好的、前向きにセッションを終了させることができました。その後、妻の方のセッションがうまくいき始めたのは言うまでもありません。
このように、むずかしい状況では通常、お互いに主張しがちになりますが、思い切って傾聴に徹することにより、落ち着きを取り戻し、状況を分析しコントロール下に置くことができるものです。
むずかしい状況のときこそ、傾聴を!