頼られて疲れるあなたへ:産業医が実践する「疲れないコツ」

頼られることは、多くの人にとって喜びです。その反面、多くの人は頼られて、精神的な疲れやストレスを感じることも少なくありません。私は産業医として毎日多くの方のお悩みをお聴きしていますが、実はあまり疲れを感じることはありません。いつも、へえぇ!といわれるのでそのコツを共有しますね。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

課題の分離:それは相手の問題

相談を受けると、私たちはついつい自分が解決策を提示しなければならないと思いがちです。そしてその解決策が最善のものであるように自分が必死に考えてしまいます。

しかし、その問題はそもそも相談者自身が解決するべきもの。私たちの役目は、その問題を解決するためのサポートをすること。あるいは時にはそっと背中を押すことだったり、黙って話を聴くことだったりします。

したがって、相手の問題を「自分が解決すべきもの」と思わないことを心がけています。

相談の時間、それは相談者の時間

あなたは友人から相談ごとを聴いている。それはあなたの時間を使ってもいるので、あなたと友人双方の時間とも言えます。しかし、私は実際にはこの時間は相談を持ちかけている友人自身の時間と捉えています。

あなたはただ友人がしてほしいように相手に合わせていくだけ。話をただ聴いてほしいならそのように。アドバイスがほしいなら自分にできる範囲で。そっと背中を押してほしいならそっと。

自分の考えや意見を押し付けるのではなく、友人が自ら解決策を見つける手助けをするだけだということを忘れずにいると気持ちが楽になります。この意識があるだけで、あなたの負担感は大幅に減少します。

決めるのは相談者

あなたはときに相手に最良と思われるアドバイスや意見を伝えるかもしれません。しかし、何を選び何を選ばずにおくかを決めるのはあなたではなく相手です。自分が最良と思われる方法を知っているとしても、情報は伝えるが、決めるのは相手であるということを忘れないようにします。

一生懸命に一緒に考えたのだからとついつい自分の考えを言いたくなりますが、相手が自らの判断で決めることを尊重しましょう。

まとめ:疲れないための意識の工夫

疲れ果てるほど一生懸命に相手のために動いている。頼られる人はそんなふうに考えがちになりますが、実は疲労困憊するというのはあなただけでなく相手のためにも好ましいことではありません。

あなたは疲れ果ててしまう。もうあの人の話を聞くのは嫌だという気持ちになってしまう。一方で、相手はあなたを頼りに思っているのに頼る先をなくしてしまうことになってしまいます。せっかく相手にとってあなたは頼れる存在なのにもったいないことです。

疲れることなく話を聴くためには、上記のような意識の持ち方が必要です。課題の分離、相談者の時間を大切にすること、そして決定は相手が行うという意識を持つことで、あなたも疲れずに頼られる喜びを感じることができるでしょう。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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