【思考の転換】必要だけど煙たがられる仕事をどう考えるか?

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

煙たがられる仕事

組織にとって欠かせない。けれど、往々にして煙たがられがちな仕事ってありますよね。
会計監査、細かい規則が守られているかチェックする仕事、コンプライアンス管理、品質管理…これらの仕事を担当している方は、こんな経験はありませんか?

「また細かいことを言ってくる…」
「彼らがいるせいで仕事が進まない…」
「もう、ちょっとくらい良いじゃない!」

こんなことを言われて気持ちが沈む、なんていう経験。

こういった反応に心を痛めたり、時には自分の仕事の意義を見失いそうになったりすることもあるでしょう。

こういう仕事が組織に必要な理由

会計監査や細かい規則が守られているかチェックする仕事は、一見すると組織の動きを遅くする厄介者のように見えるかもしれません。しかし、これらの仕事こそが組織の健全性と持続可能性を担保しているのです。

これらの仕事は、組織を法的・倫理的な問題から守り、長期的には社会的な信頼を高めます。つまり、目に見えにくいけれども、組織の根幹を支える重要な役割を果たしているのです。

仕事と人格を混同?

実は、問題の本質は煙たがられる仕事をしている人ではなく、その仕事と人格を混同してしまう周囲の人々の認識にあるのかもしれません。

  • 仕事と人格は別物と分けて考える
    会計監査や細かい規則が守られているかチェックする仕事を行う人が、厳しく細かいことを指摘するのは、その人の性格ではなく、仕事の性質によるものです。
  • 誠実さの表れ
    細かいルールを指摘することは、むしろその人が仕事に誠実に取り組んでいる証拠と言えます。
  • 組織を守る重要な役割
    一見煙たく感じる指摘も、実は組織を守るための重要な役割を果たしています。
  • 認識の転換が必要
    「このは面倒くさい」ではなく、「この仕事は組織に必要不可欠だ」という認識の転換が求められます。
  • 相互尊重の文化づくり
    それぞれの仕事の重要性を理解し、互いの役割を尊重し合う文化を育むことが大切です。

仕事への誠実さの評価

煙たがられる仕事を担当する人々は、決して意地悪や融通が利かないわけではありません。彼らは単に、自分の役割に誠実に向き合い、組織のために必要な仕事をしているだけなのです。

問題は、その仕事の性質と人格を混同してしまう周囲の認識にあります。仕事上の厳しさや細かさを、その人の性格と結びつけて考えてしまうことで、不必要な軋轢や誤解が生まれてしまうのです。

アメリカでの出来事

このことに気づかせてくれたのは、アメリカ留学をしていたときの研究室のドイツ人研究者。彼女が研究用冷蔵庫に入れてはいけない牛乳パックをちょっと置いといたときに、運悪く備品の保管状況のチェックが入ったのです。

やはり牛乳パックは見つかりました。ペナルティを課されたのですが、当然周囲は「すぐに出せば問題ないじゃない」と、その検査員を「厳しすぎる」と言ったのです。

でも、当の彼女は「でも、それが彼の仕事だから。誠実に仕事をしただけ。彼は正しい」とけろっと言ったのです。そのときに、「なるほど、彼の行為はむしろ仕事に誠実とも言えるのだ」と気付かされました。

最後に、煙たがられがちな仕事を担当している皆さん、あなたの仕事への誠実さは、必ず組織の成功につながっていますよ。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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