従業員の心身の健康に関する施策を、福利厚生から経営施策に捉え直そう

健康経営という言葉を知っていますか?この耳慣れない言葉に関しては、前回のブログで説明をしました。従業員の心身の健康管理を福利厚生から経営の視点で捉え直して施策を打っていくということでした。

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福利厚生から経営施策へのシフトとは?

ここ10数年の間に、価値観の多様化、人権意識の変化、出生率の低下からくる労働人口の減少、産業構造の急激な変化などが起きてきました。そのスピードたるや、信じられないほどの速さです。

忍の一字、石の上にも3年などという言葉は死語となり、精神論だけでは人は動かない世の中になりました。

多様な価値観に合わせて、男性育児休業制度、病気や育児・介護と仕事の両立のための制度、経営層への女性比率を高める施策、LGBTQ+に対する施策、障害を持つ従業員に対する合理的配慮のありかたなどなど、様々な施策が生まれてきました。

これらはもちろん、会社から従業員への福利厚生という観点でまとめることもできます。

しかし一方で、こういう施策を積極的に行うことで、

1)良い人材が集まり、
2)離職率は低下し、
3)様々なライフイベントがあってもて長く自社で働く人が増えれば、

採用・教育へのコストは抑えられるだけでなく、いつも新人への教育に忙殺されていた現場の疲弊を減らすことができます。

従業員満足度と従業員エンゲージメントの違い

現場が疲弊することなく健康に働ければ、自ずと生産性は上がります。従業員の自社に対するエンゲージメント(従業員が会社に対しての愛着や貢献の意志をより深めること)が高まれば、自律的な従業員が増えていくことが期待されます。

したがって、経営層が積極的にこれらの施策を経営的視点で戦略的に行っていくことが大切なのです。

法律だから、国が言っているから、という理由で制度を作っても、福利厚生の範疇を出ることはできません。もちろん、制度が充実しているのは良いことです。でも、従業員による「従業員満足度」は上がるかもしれませんが、決して自社に対するエンゲージメントの高まりには結びつきません。

経営施策に捉え直すためには

経営層が、
●なんのために男性育児休業制度を作るのか?
●病気や育児・介護と仕事の両立のための制度がなぜ必要なのか?
●経営層への女性比率を高める施策がなぜ企業にとって意味があることなのか?
●LGBTQ+に対する施策があると、なぜエンゲージメントが高まるのか?
●障害を持つ従業員に対する合理的配慮のありかたとはなぜ必要なのか?

これらのことを経営層お一人お一人が自分の言葉で語れることがまず大切です。

これが健康経営への第一歩です。

リソースはあっても、それを健康経営という概念で整理したうえで、経営施策として捉え直さなければ宝の持ち腐れとなってしまうでしょう。

さあ、きょうからリソースの見直しと意味付けを始めてみませんか?産業医は健康経営を目指す際の頼れるパートナーです。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。