原因追求の責める方式から、今後はリクエスト方式へ

どうして、こういう事態になるかもしれないと、予想できなかったんだ?」

どうして、締め切り間際じゃなくて余裕を持って資料を見せられないんだ?」と詰問されたら、あなたはなんと返事をしますか?

問題が発生したとき、「どうして?」攻撃から、「今後はこうしてほしい」リクエスト方式への転換の提案です。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

どうして?と質問されると人は謝るしかなくなる

どうして?という質問形式だと、答えは2つです。

1)それは、こういう理由です、と説明する。

2)すみませんでした、と謝る。

1)の、理由を説明した場合には「それは言い訳だよ」と更に拒絶されることは少なくありません。あるいは、「なんでそう考えた?」と更に追い詰められることも。「なんで?」「なんで?」。謝ると「ごめんなさいって言ってほしいんじゃない。どうしてそうなったのか、経緯を教えてって言ってるの」

こうなってくると人は黙るしかありません。なぜなら責められていると感じるからです。いずれにしても、「どうして?」という質問に対しては、人は「すみません」と謝罪する以外の選択肢は見当たらなくなります。

これでは、逃げ場がないところに相手を追い詰めることになりかねません。問題の解決には繋がらなくなってしまいます。

え?なんで?理由を明確にしないと、問題の解決なんてできないじゃない!と思いませんでしたか?

理由を明確にするとかしないとかではなく、相手を責めている、追い詰めていることが問題なんですね。

相手が自己防衛に走っても、問題は解決しない

人は「どうして?」と言われて追い詰められた、責められていると感じると、かんたんに自己防衛状態になります。これは本能的なもの。だから「そもそも簡単に謝るっていう姿勢が良くないんじゃないの?」といくら叫んでも、どうにもなりません。そういう正論を振りかざしても、事態は改善には向かいませんよね。

誰もができる最もかんたんな自己防衛が、謝ること。殊勝に頭を垂れてじっと嵐が吹きすぎるのを待ちます。

しかし、たいていじっと頭を垂れても問題は解決しません。だって相手は嵐が吹きすぎるのを待っているだけだから。問題の本質について内省することもしなくなってしまいます。

相手がつぎの行動を取りやすく伝えることが問題解決の近道

ではどうしたらいいのでしょうか?相手が自己防衛に走らず、つぎの行動を取りやすくすることが大切です。

そのためには、「今後はこうしてほしい」というように、今後に向けてどうしてほしいのかを具体的に伝えることをおすすめします。

「それでは自分で考えなくなるじゃないですか?」と言われることもあります。でも、黙って下を向き謝って嵐が通り過ぎるのを待っている人に、急に主体的に考えることを求めても難しいでしょう。まずは「今後はこのようにお願いしますね」と明確にこれからの方向を示すことが大切です。人は追い詰めても能力は発揮できません。加えて、長い目で見ると自信を失い、指示待ちの受け身になってしまうので、あなたの大変さは変わりません。

長い目で見ると、相手も成長し自分も楽になる方法を試してみませんか?

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産業医として、伝え方コーチとして、毎日たくさんの方の話を聞いてきた経験を元に、「自分が疲れない話の聞き方のポイント」についてまとめた本です。
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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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