スケジュール管理で大切なこと

2023年がはじまって、気がつくともう2月。早いですねーと何度言葉をかわしたでしょうか。

暖かくなりましたね、蒸し暑いですね、お互い熱中症に気をつけましょうね、やっと涼しくなりましたね、日が短くなりましたよね、今年ももうおしまいなんて一年って早いですよね。こんな会話が今年も繰り返されるのでしょう。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

年のはじめに、あまり「今年の目標は」などとは考えない方です。その代わり.いつも、思いついたときに、目標設定を修正するようにしています。

ここ数年.特に意識しているのが、何をするかよりも、何をやめるかということです。

長い間、何をするかばかり考えてきた反省から気をつけていることです。

本来、自分に自信を持つためにスケジュール管理をしているはずなのに、、実際にはそのスケジュールを守れずに自分を苦しめ、自分の自己肯定感が下がる方向にばかり作用してきたよな、と気づきました。長い自分のスケジュール管理の反省からやっとたどり着いた結論です。そのためにまず、止めることから決めました。

といっても、年中自分の目標やスケジュールを棚卸して、辞めることを決めているというわけではありません。実はそれくらい、何をやめるかということを考えるのは非常に難しいことです。理由は2つ。

一つは、私達は小さい頃から、目標設定といえば何をやるかということばかり考え、「目標設定はそればかりではない。今までやっていたことをこれからも続ける意味があるのかどうかを考えることも大切だよ」というフィードバックをもらう機会がほとんどないからです。

もう一つは、脳は変化を嫌うという特質があるからです。変化はたとえそれが小さなことであったとしても脳には負担になるので、できるだけ同じことを繰り返すということを好みます。したがって、今までやっていたことを止めるということは脳にとっては大きな変化なので、それを止めない方向に働くのです。

まあ、そういう観点でいうと、新たな目標というものも脳にとっては大きな変化なので、新しいことは続かず、たいていみんな三日坊主になるんですよね。

7、8年前に、今年は英語の勉強するのをやめるというのを目標の1番目に掲げたことがありました。それは私にとって、結構大きな決断でした。当時、大学医学部の教員として基礎研究をしながら教育にも携わっていました。学会の発表はほとんど英語になり、大学には留学生がたくさん入学してくるようになっていました。英語を自由に繰れないということは、研究面でも学生との交流という意味でも、大変、デメリットがあったのです。実際、私は大きな劣等感に常に悩まされていました。

だから私はそれまで本当にいつも、毎年の目標のトップ3に、英語の力をつけるとか、TOEICで何点とか、そういう目標を掲げていました。当然、毎日のスケジュールにも英語の勉強に関することが散りばめられていました。ボキャブラリーを増やすとか、ディクテーションをするとか、例文を覚えるとかです。

でも、語学の勉強は私にとって苦痛以外の何物でもなかったし、勉強している割には成果が感じられませんでした。多分、私には語学習得に関する脳の領域に問題があるのではないかと、ずっと悩んでいたくらいでした。

苦手なことを頑張り続けるというのはこういうことなんだなと、あるときふと考えて、その年に初めて「英語の勉強を一切やめること」を目標に掲げました。目標に掲げないと、止められない気がしたのです。自分にとって、苦痛を伴う割に成果を感じられない、無駄な努力をやめてみようと思った。幸いなことに、私の周囲には語学が得意な人が本当にたくさんいたので、そういう人たちにお任せしようと決意しました。そして、私のスケジュール表から「英語の勉強およびそれに関連すること」がバッサリと消えました。

人は何のためにスケジュール管理をするのでしょうか。約束を忘れないため、やるべきタスクを忘れないため、どの時間に何をするのかを決めるため、どれもその通り。しかしその先にあるのは、自分で自分の時間をコントロールしているという自己効力感だったり、自分は自分で決めたことをちゃんとやれている、自分との約束を守れているという自己肯定感だったり。その積み重ねが、自分を信じ、自分を幸せにしていくのではないでしょうか。

すなわち、希望的観測でたくさんスケジュールを詰め込んで、目標をたくさん掲げて、そしてそれらができなくて、今週も積み残しがこんなにある。今週もこれができなかった。今月もこれができなかった。できなかったことが山積みだ。そうやって、自分との約束が守れず、その結果自己効力感、自己肯定感が下がるというのは、スケジュール管理の観点から言うと本末転倒なんだろうなと感じます。

スケジュール管理というのはそもそも、自分で自分を幸せにすること。スケジュール管理をすることで、自分で自分に自信を持つこと。

しかし結果的に、自分のキャパオーバーになるようなスケジュールを入れてしまう。またできなかったと自分で自分の自信を下げるようなことをしていることが多いような気がします。

定期的に何のためにスケジュール管理をしているのか?今のスケジュール管理は目的にかなっているのかということを振り返る必要がありますよね。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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