苦手な人っていませんか?
「いる、いる!いるに決まってるじゃない!!大体、あの人は・・・」という大合唱が聞こえてきそう。
こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。
「嫌い」というのは自己防衛の一つ
そう、誰でも苦手な人はたくさんいます。それ自体は当然のこと。自己防衛の一つですから、決して悪いことではありません。
近くに寄ると自分にとって良くないことがありそう、自分が不快な思いをしそうだなと思うからこそ「苦手だな」という感情が湧き、用心したり近づかなようにしたりするのです。
世の中には、苦手な人の付き合い方というのが溢れています。もちろん、苦手な人とどう付き合うか?ということも大切なんですが、そもそも、なぜその人のことが苦手なのか?って考えたことありますか?
もちろん、威圧的だとか、人によって態度を変えるからとか、ハラスメントをしてくるからなど、「そりゃ当然だよね」という理由の場合はたくさんあります。そういうことから身を守ろうというのは本当的な働きですからね。
でも、その中に「もう、このタイプ苦手だわ」ということはありませんか?
理由はないのに同じタイプの人が苦手
産業医として職場のお悩みを聞いていると、しばしば「もう、このタイプが苦手で」という話が出てきます。「どうして苦手なのでしょう?」とお聞きすると、一見もっともらしい理由が返ってくることもありますが、明確な理由がでてこないことも。
「誰かに似ているということはありませんか?」と質問すると、「まさか!」と笑いつつ、苦手な人の意外な共通点がでていることも少なくありません。
私自身、エネルギーに溢れ喜怒哀楽がはっきりしていて行動力があるように見える人が苦手、と思いこんでいました。押しが強くて、土足で踏み込んでこられるような気がして、瞬間的に身構えてしまうのです。そして、私は長い間「相手がそういう態度だから、私は用心するし避けたいと思うのだ」と考えていました。でも、あるとき気づいたのです。人生の中で最も大きな私の課題だった母親と共通点があったこと。まさに母がそういう人でした。
もっとも、母の場合は表面的にはエネルギーに溢れ、喜怒哀楽がはっきりしていて行動力があるように見えましたが、一皮剥くと自信がなく弱い人でもありました。それがわかったのは私がおとなになったずっとあとのことでした。価値観が形成される頃には、そんな人間の奥深いところを感じたり分析したりなどできるわけもなく、母の表面的な部分しか見ていなかったんですけれどね。
もし、あなたが苦手だなと感じる人に共通点がある場合、そのルーツを考えてみるのも一つかもしれません。
苦手な理由がわかったら
でも、苦手な理由がわかったからって何か良いことあるの?嫌なことを思い出すだけでしょう?と思うかもしれません。
そう、自分にとって嫌なことは無理して思い出す必要なんてありません。でも、もし「なんだ、あの人と似たタイプは苦手ってことだったんだな」と気づいたら、次にすることは何でしょう。
例えば私の例だったら、ふと「苦手だな」「嫌だな」という気持ちになったときに、「苦手な母と似たタイプだから?それとも別の理由?」と一呼吸おくことができます。母と似たタイプだからかな、と暫定的に答えが出たら、「この人は私の母ではない」と自分の考えの歪みを修正することもできるようになります。
まあ、そういう私も「ああ、母に似ているからかな」と思っても、すぐに苦手意識が解消されるというわけではないんですけれどね。今も修正中です・・・
決して無理に理由を探すことをお勧めしているのではありません。「苦手だな」と思ってはいけないと言っているのでもありません。どうも、同じタイプの人が苦手という場合には、そのせいで貴重ななにかの機会を失っているかもしれません。一度振り返ってみても良いかも。