いつもその日の業務の報告をするように伝えているのに、部下の鈴木さんは日々の業務報告をしてきません。これまで何度か注意はしているのですが改善しませんでした。今日こそは理解してもらいたいと、上司であるあなたは鈴木さんと話をしています。
鈴木さんはあなたの言葉にことごとく反論してきました。
そりゃあ、毎日出さなかった私も悪い、と言いつつも
「忙しいんです」
「他にも提出しない人もいるでしょう。なんで自分だけ注意されるんですか?」
こういうとき、みなさんはどうしていますか?ため息をついて、「もういいから・・・」と話を止めますか?「他の人のことはどうでもいいでしょ!あなたのそういう態度が問題なの!!」と語気を強めますか?
こんなときに思い出してもらいたい「何度でも自分の言いたいことに立ち戻る」という話です。
こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。
相手に何かを伝えたとき、相手からの反応も当然ありますよね。ミスを指摘した場合には、言い訳が次から次と返ってきたり、自分だけじゃないと反論してきたり。。。
反論されたとき、あなたはどういう対応をする癖があるでしょうか。
多くの人はついついその言葉に反応してしまいます。例えばこんな感じ。
鈴木さん「忙しいんです」
あなた「忙しいのは鈴木さんだけじゃないでしょう」
鈴木さん「だけど課長は昨日も私に急ぎの用事を依頼したでしょう。そういうのが多いんですよ。落ち着きゃしませんよ」
あなた「じゃあ、急ぎの用事を入れなければ、日報を出せるの?」
鈴木さん「そんなのその場にならなきゃわかりませんよ」
あなた「あなたのそういうところが困るのよ!どうしていつもそうなの?だいたいこの前だって・・・」
そして、伝えたかったことからどんどん話がずれていく、そんな経験ありませんか?
そんなときどうしたら良いでしょう。
1つ目には反論の言葉に食いつかないことです。相手は当然反論していくるので、そのことを想定しておき、その反論に乗らないこと。
2つ目は、伝えたかったことを何度でも繰り返してみてください。
例えば
「今の話は後でじっくり話をするとして、いま私はあなたに日報は毎日提出してほしいということを話しているのです」
「それはそうかも知れませんが、いまは日報は毎日提出してほしいということについて話をしています」
相手の話(言い訳や反論)に安易に乗ることなく、自分の伝えたいことを静かに揺らぐことなく伝えることは、ノンバーバル(言葉以外の、あなたの佇まいから発せられるもの)で相手に伝わります。その姿からは、自分を下げているのでもなく、相手を下げるのでもない、毅然とした姿勢としてきっと映るでしょう。