「叱る」の意外な影響:なぜ我々は叱ることから逃れられないのか?

叱ることについての議論は定期的に起きているように思います。

●体罰はいけないが言葉なら良い。

●怒るは感情的になっているのでいけないが叱るなら良い

先日、村中直人著「叱る依存」を読みました。漠然と考えていたことが見事に言語化されていて興味深い本でした。

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こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

叱るも怒るも同じ

筆者は「叱る」も「怒る」も同じだと言います。単に叱る側からの視点なのか、叱られる側の視点なのかによる違いだというのです。

叱られる側の立場で考えてみましょう。

叱ることも怒ることも、叱られる側からすると同じような不快な経験です。あなたが子どもの頃、叱られたことを思い出せばわかりますよね。親があるいは学校の先生が「私は感情的に言っているのではない。冷静に叱っているんだ」と考えたとしても、あなたにとってはどちらでも良いことです。あなたには苦い思いが残るだけ。

一方、叱る側にとって「私は感情的に怒っているのではない。冷静に叱っている」と考えることは叱る行為を正当化してくれます。

そういう意味で、「叱る」も「怒る」も同じ。単に叱る側からの視点なのか、叱られる側の視点なのかによる違いだということになるのです。

謝ることがゴールなのか?

叱られるととりあえず謝る。あなたも私もたくさんそういう経験をしてきていますよね。子どものころだけでなく、社会人になってより強化されているのではないでしょうか。

それは叱られたら、とりあえずその状況を終わりにしたいと感じるためです。だからその場をなんとか終わらせようとして、本当に納得しているのかどうかに関係なく謝罪や反省の言葉を言うことが多くなります。

一方、叱る側はどうでしょうか?

実は叱ることは(怒ることも)、叱る側に充足感や報酬をもたらしやすいのです。

叱る

→(納得しているかいないかは別にして)叱られたほうが謝る

→(一過性にせよ)自分が叱った結果、望む行動や反応を叱られる側から引き出すことができると感じる

→この感覚が魅力であり強烈な報酬となる

人間は悲しいかな、自分にパワーがあると実感すると喜びを感じる生き物。自分の言葉によって相手が自分が望むような言動をするというのを目の当たりにするのは、自分のパワーを感じる瞬間でもあるのではないでしょうか。

したがって一度、パワーを感じる≒叱ることに慣れると、その行為をやめるのが難しくなり、叱る行為を繰り返してしまうというのです。

叱るとき、自分の行動や習慣について「どんな報酬があるのだろう?」と立ち止まると、別の手段を考えることができるかもしれませんね。

自分の行動や習慣について再考するきっかけとなるかもしれません。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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