前提を無視していないか?

今年は我が家の周辺にはセミがやたらに多いよな。セミが大発生の年なのか?あなたはそんなニュース聞いたことありますか?

ある朝、我が家がある住宅街の中の郵便局まで往復しながらふとそんなことを考えていました。「でも今年はセミが大発生しているとは聞かないし・・・」とつらつらと考えながら炎天下の下を歩いていて、ふとおかしくなりました。前提が間違っているよ!

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

なぜセミが多いと感じたのか?

そもそもなぜ私が「今年はセミがやたらに多いな」と感じたかと言いますと、

1)庭の雑草取りをしているとセミの抜け殻をすごくたくさん見かける。
2)セミの死骸もたくさん見かける。
3)家の周辺を歩いていると、シュワッと眼の前をセミが飛んでいく光景に頻繁に出会う。
4)我が家の木や街路樹にセミが止まっているのをよく見かける。

からです。

でも、炎天下のもと、頭が沸騰しそうになりながらふと気づいたのです。

●こんなに春から夏にかけて、継続的に庭仕事をしているのは今年が初めてだ。
●庭をリフォームする前は、そもそもものを取りに行くときくらいしか庭に出なかったじゃないか。
●リフォーム後の初めての夏だった去年はと言えば、庭の雑草取りってどうやったら良いのか分からなかった。そもそも何が雑草で何を残しておくべきなのかも区別できなかった。だから庭は雑草が伸び放題で、どうにもならなくなると専門家に頼んで雑草を取り除いてもらっていた。
●気候が良いときは近所まで歩いて買い物に行くなんてことはよくあったが、暑い夏場になると近所でも車で移動していた。

ということは?


自分の手で雑草を取り除く作業を継続的にやったり近所にも歩いて出かけるなんていう夏は、今年が生まれて初めてってことだ!

だとしたら!

●去年だってその前だって、我が家の庭にセミの抜け殻はたくさん落ちていた可能性がある。私が夏の時期に庭にほとんど出なかったから気づかなかっただけかも。
●去年だってその前だって、我が家の庭にセミの死骸がたくさん落ちていた可能性もある。私が夏の時期に庭にほとんど出なかったから気づかなかっただけかも。
●去年だってその前だって、我が家の周辺ではセミがシュワッと飛び回っていた可能性もある。私が夏の時期に近所を歩くということがほとんどなかったから気づかなかっただけかも。

今までの夏と私の行動パターンが変わったからセミに遭遇する機会が増えただけで、セミの発生率は何ら変わっていない可能性もあるのです。この前提を全く考慮せずに「自分がセミやその抜け殻などに遭遇する回数が増えた」という理由だけで「今年はセミが大発生しているのかな?」と考えてしまうのは結論を急ぎすぎというものだな、と気づいて、ふとおかしくなったのです。

前提を考慮しない会話をしていないか?

これと同じことが私たちの日常の会話にも起きてはいないでしょうか?前提をうっかり忘れて、2つのことを比較して落ち込んだり悩んだり、逆に小躍りして喜んだり。

●涼しい顔して仕事と家庭を両立しているように見える人をみて、訳もなく落ち込む。→実際はあなたが想像しているとおりに、涼しい顔してこなしているかどうかはわからない。
●同業者だからという理由で、自社と他社の売上やら施策を単純に比較して社員に発破をかけていないか?
●同時期に入社した部下を単純に比較して「あっちはできるのに、おまえは何だ!」というようなコミュニケーションを取っていないか?→実は大学の専攻がそもそも違い、かたや入社時に相当細かいことも知っていた。一方、もう一方は基本のキから始めねばならなかった。

前提を揃えるというのは科学の分野では当たり前のことなのですが、実生活ではしばしば見過ごされがち。

何かを羨ましいと思ったり、自分はだめだと感じたりしたときは、「果たして自分が考えていることの前提は正しいのか?」を考えてみると良いように思います。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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