今日の会議は厳しいものになるぞ、ということありますよね。営業の方なら、今日の訪問は一筋縄ではいかないぞ。教師なら今日の保護者との話し合いはすごく難しいだろうな。
私の場合で言えばクライアントとのセッションや、従業員の方との面談で稀に「うーん、今日の話は厳しいだろうな・・・」
そんなときあなたが気をつけていることってどんなことですか?
こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。
むずかしい状況に直面した時、私が常に意識をしていることは、お互いに主張するより相手の話をじっくりと傾聴すること。「え?相手も負けじとどんどん主張してくるようなときに傾聴??」と思うかもしれません。しかし、こちらがまずは言い分を言うのではなく、相手の主張を傾聴するほうが問題解決への道が開かれることが多いです。
難しい局面ほど傾聴が効く
傾聴とは、相手の話を真剣に聴くこと。難しい場面で傾聴が効く理由はいくつかあります。
一つはまず相手の話を聴くことで、あなた自身が落ち着きを取り戻すことができるということ。難しい場面だということは誰でも意識しているはず。ということはあなたの感情は、緊張・不安・怖れなどでいっぱいになっているはず。その緊張感のまま良い話し合いはできそうにありませんよね。したがって、まずは傾聴しながら気持ちを落ち着けます。相手の話を聴くことで状況の整理もできます。
二つ目は相手の言い分・状況が理解できることです。相手が何に困っているのか、相手がどこを誤解しているのか、相手は何を求めていたのか?そんなことを改めて理解できますよね。
三つ目は人は誰でも「自分の話を聴いてもらいたい」願望を持っています。それを満たすことで相手が一旦安心し、更に自分の言い分を語ることで相手の気持ちも落ち着きます。落ち着く上に、こんなふうに話を聴いてもらったと、あなたに対しての気持ちが和らぐことが多いでしょう。それは相手が自覚しているか無自覚なのかに関係ありません。もしかしたら信頼関係を築くことにつながるかもしれません。
私が実際に経験したケース
そのクライアントは女性で、夫婦の関係に悩んでいました。そのことが原因で体調にもいろいろと問題を抱えていたのです。
彼女は私とのセッション後に、特に医学的なアドバイスについて夫に話をし、その都度夫からダメ出しを受けていました。セッションでは方向性が決まるものの、次回のセッションまでの間にもとに戻ってしまうということが続きました。
半年近くそういう状況が続き、しかたなくあるセッションではご夫婦で来ていただきました。
もう待ち合わせ場所に入ってきたときから夫の異様な緊張感、「言ってやるぜ」というエネルギーの高さを感じました。「やっぱり・・・。困ったな」と暗澹たる気持ちになりました。
「今日はいろいろと言いたいことがありましてね」
「ええ、言いたいことは全てお聴きしますよ。どうぞ思いの丈をお話ください」こんな会話からセッションが始まりました。
私は彼の話をじっくりと傾聴することを選びました。私は次第に落ち着きを取り戻し、彼女の夫が何を気にしていて何が不満なのか段々と理解できました。一通り彼女の夫が話しきったあとで、ゆっくりと落ち着いてこちらの考えを伝えました。
この結果、双方の緊張が解け冷静になりセッションを前向きに終了することができました。これは誰に取って良かったかと言うと、クライアントにとって良い結果をもたらしたのです。
まとめ
むずかしい状況、特に人間関係の問題においては、お互いに主張を繰り返すことは問題のエスカレートを招くだけです。そのような時こそ、相手の話を真剣に聞く傾聴が非常に有効です。傾聴により、相手との信頼関係を築き、問題解決の第一歩を踏み出すことができるからです。
緊張し、不安になるような難しい場面こそ、腹をくくって傾聴を!