【職場のコミュニケーション】朝令暮改は悪くはないが、気をつけるたった一つのこと

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

あなたの職場は、指示がコロコロ変わりますか?それとも一旦出た指示は守られる方ですか?

朝令暮改(ちょうれいぼかい)という言葉があります。


朝に出した命令を夕方に改めるというように、方針などが一定せずコロコロと絶えず変わって定まらないことです。

朝令暮改は是か非か?

「あるよ、あるよ!うちの課長、朝令暮改!」という声が聞こえてきそうです。一方で、経営者などリーダーの中には「朝令暮改、上等!」と言う人も多いです。

指示を受ける立場の者にとっては朝令暮改、すなわち指示がコロコロと変わるのは迷惑この上ないこと。

ところが上に立つ立場ですと、一旦言ったことにこだわってしまうと間違った方向に進みかねない。

一度口にしたことでも違うと思ったら、あるいはもっと良い方法があると思ったら、さっき言った言葉と違っていようがなんだろうが気にしない。それが大事だ、ということです。

従業員の人の声を聞いていると

産業医面談などで従業員の話を聞いていると、

「全くうちの上司は言うことがコロコロ変わるんですよ。
だから何度も確認するのに、調子のいい返事をして、でも、すぐに言うことが変わる。仕事にならないんです。疲れます」
という話が時々出ます。

一方で、業務指示を出す人からは
「だって話が変わることもあるし、仕事はどんどん流れているんだから状況も刻一刻と変わるでしょ。それに対応する力がなきゃだめでしょ」

ふむふむ、どちらの言い分もわからないではない・・・でもそれだと、どっちにも良い顔をしているだけじゃないか!

ということで・・・

朝令暮改はあってもいいが気をつけたいことは

そう考えると、朝令暮改はスピードが求められ、変化が激しい時代にあっては必ずしもいけないことではないですよね。

ただ、それには一つ気をつけたいことがあるんです。
ひとりの人の朝令暮改に振り回される人がいるということです。
振り回されるということは、エネルギーを非常に消耗するんです。

その時対応するとかしないとかだけではなく、その後も消耗してしまっては業務の生産性に関わります。

また、日常的に「どうせ、言うことがコロコロ変わるんだから、ギリギリまで待って取り掛かろう」という発想になってしまいます。

これでは業務を前倒しで行うことができず、どんどん先送りになってしまいますよね。

両者の不満は減らすコツ

では何を心がければ両者の不満を減らすことができるのでしょうか?
それは変化のプロセスを簡単に伝えるということです。これは指示を出す側の責任です。

人は、理由がわからないことに関しては不安を抱くし、猜疑心も生まれやすい。
だからこそ、

「あれからまた考えたんだけれど、こちらのほうがこういう理由で後の管理のしやすさを考えると優れていると考え直したんだ。調整をお願いできないかな。悪いね」

というように変化の思考のプロセスを伝えることが必要なのではないでしょうか?

伝え方のポイントとは

こういうときの伝え方のポイントは次の3ステップです。

  1. 自分の考えを伝える
  2. その理由を伝える
  3. 相手へのねぎらいの言葉を添える

    自分の考えを伝えるときには、以前言ったこととは違うことを言っていることを相手に伝えましょう。

    このことで、「単なるその場その場の思いつきではなく、熟慮の末に違うことを指示する」ということが伝わります。

    そして、以前言ったことと違うことを言う理由を簡潔に伝えます。たいていは良く考えたらこっちのほうが良いと思った、とか、新しい情報を加味したら、などでしょう。

    でも、その一言があるのとないのとでは、思いつきで言っているのかそうではないのかといった、言われた側の納得感が違ってきます。

    そして最後は、「コロコロ変わって済まない」「指示が変わって申し訳ない」「仕事に取り掛かったところでの変更で悪かった」と、ひとこと言葉を添えましょう。

    まとめ

    朝令暮改、それ自体が悪いことではありません。ただ、その伝え方にちょっとした配慮があれば、行き違いはずいぶん減らせるのではないでしょうか?

    朝令暮改を恐れず考えをどんどんアップデートし、コロコロ変わる業務指示を受ける方も疲弊を減らしていける伝え方をしていきましょう。

    この記事を書いた人

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    本間 季里

    少人数の会社でも産業医が必要な理由
    産業医・伝え方コーチ:本間季里

    「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

    少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

    私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

    企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

    資格:日本医師会認定産業医・医学博士
    アサーティブジャパン会員トレーナー
    コーチングプラットフォーム認定コーチ
    Gallup社認定ストレングス・コーチ

    詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。