相手の言葉を深読みしない
産業医・伝え方コーチの本間季里です。
こんな経験ありませんか?
ある上司は非常に遠慮深い人で、なかなか自分の本心を他人に言いませんでした。
何年も経ってから「実はあのときは・・・」ということもたびたびありました。
いつしか「あの上司がイエスと言ったら、本心は正反対、ノーということだ。だから先回りしてこちらが忖度しなくちゃいけない」とまことしやかに言われるようになりました。
あなたの周囲でも、こんな面倒くさいこと、ありませんか?そんなとき、どう考え、どう行動したら良いのでしょうか?今日はそんな話をします。
本心が言えないとき
ついつい、周囲が忖度をしてしまう。そういうジレンマ、たくさんありますよね。
でも、ズバリ、周囲の忖度は望ましくありません。
なぜなら、たとえ本人が本心を言えなかったとしても、大人ならば自分が発した言葉に責任を持つ必要があるからです。
つまり、自分が本心を言えなかったことで望まぬ方向に話が進んだとしても、それは受け入れるしかないのです。
そして、次の機会にはちゃんと自分の正直な気持ちを話そう、と次に活かせばよいのです。
例えば、好きな人に気持ちを伝えられずにいるうちに、その人が別の人とお付き合いを始めてしまう…。そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。辛いけれど「自分が言えなかったんだから仕方ない」とさめざめと泣くわけです。
周囲も忖度をしない
しかし大人になると、妙な忖度が横行してものごとが複雑になることが多々あります。
あなたも「気が利かない」と言われたくない、という気持ちが働きます。
おまけにそれを「大人の対応」などと呼んでしまう。
また「相手の言葉を深読みして自分でどんどん苦しくなる」というケースもよく見られます。

深読みをしない
例えば:
「おはようございます」と挨拶したのに、上司から「ああ…」としか返事がない。
「私、何か怒らせるようなことしたかな?」
「昨日の書類に不備があったのかな?」
…と考え込んでしまう。
割り切りも大切
ところが5分後、上司が
「おはよう!すまんすまん、ぶっきらぼうな返事しちゃって。部長の資料を確認していたんでね。そうだ、あなたの昨日の資料、とても良くまとまっていたよ」
なあんだ!という経験、ありませんか?
コミュニケーションには、ある程度の割り切りも大切です。
- 言葉で伝えられていないことは気にしない
- 言葉で伝えたことが、その人の本当の考え
つまり、相手の言葉を深読みせず、シンプルに受け止めるということです。
言わなければ伝わらない
特に職場では「言葉で言わなかったことは伝わらない。仕事は正確さが大切だから、忖度は不要」という認識を共有することが重要です。
もしあなたがどうしても忖度なしにはコミュニケーションが取れないと感じるなら、それは個人の選択として構いません。ただし、それを伝承したり、若い世代に押し付けるのは避けましょう。
相手の言葉を深読みしないというスタンスは、健全な関係性を築く上で大切です。
「この人は変に深読みもしないし、気を遣う必要もなくて楽だな」と思ってもらえる方が、長期的には良い関係が築けるものです。