「気にすることないよ」が、なぜか心に届かない理由

~ほしかったのは、アドバイスではなく「そう感じたんだね」~

約束の時間まで少しあって、カフェで時間調整をしていたときのこと。隣の席から、こんな会話が聞こえてきました(決して聞き耳を立てていたわけではありません……)。

まりさん(仮名)が、友人の薫さん(仮名)に打ち明けていたのは、「自分の言動が、職場の人を不快にさせているのではないか」という悩み。
前かがみになって話を聞いていた薫さんは、ふっと身を起こし、コップの水をぐいっと飲んでこう言いました。

「それはさぁ、まりちゃん。全然気にすることないよ!」
「気にしすぎだって」

言われて、スッキリしたことはありますか?

あなたもこれまで、何度も「気にすることないよ」と言われてきたと思います。
そのとき、「そうだよね!ありがとう、スッキリした!」と心から思えたでしょうか。

むしろ、
「こんな小さなことで悩んでいる私がだめなんだな」
「相談した私が馬鹿だった……」

と、かえってどんよりしたのではないでしょうか。
「気にしない」は、否定に聞こえてしまう

なぜでしょう。

それは、「気にしない」「気のせいだよ」「全然大丈夫、私なんかね……」と言われると、人は自分の気持ちを受け止めてもらえなかった、と感じるからです。

もっと言えば、「否定された」感じがする。

さらに、どこか上から目線にも感じられてしまいます。「そんなことで悩むなんて」と、一段高いところから言われているような気がして、相談した自分が小さく思えてくるのです。

言った側に悪気はありません。励ましたい、楽にしてあげたい。その一心です。けれど受け取る側には、「あなたの感じ方は間違っている」というメッセージとして届いてしまうことがあるのです。

「私なんかね」と自分の話にすり替えられるのも同じ。気持ちの行き場が、ふっとなくなってしまいます。

ほしいのは、ただ「受け止めてもらうこと」
まりさんが本当に求めていたのは、解決策でも励ましでもなかったのかもしれません。

「そう感じたんだね」
「それは気になるよね」

ただ、そう言ってほしかった。
人は、気持ちを受け止めてもらえると、不思議と落ち着きを取り戻します。そして落ち着いて初めて、「じゃあ、どうしようか」と前を向くエネルギーが湧いてくるのです。

気になっているものを「気にしないように」と頑張るのは、実はたいへんなエネルギーを使います。原因は目の前にあり続けるのですから。そのエネルギーは、あなたにとって本当に大切なことのために取っておきたいですよね。

次に誰かの愚痴を聞くときは
「気にすることないよ」が口をついて出そうになったら、ひと呼吸。
「そう感じたんだね」と、まずは受け止めてみてください。

職場のギクシャクをどうするか、という問題は、そのあとで一緒に考えればいいのです。

あなたが話を聞くとき、相手は今、何を求めているでしょうか?

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この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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