コミュニケーションで勝ち負けの土俵に上がりそうになったら意識すること

一旦会社に入ったら、あるコミュニティに属したら、結婚したら「黙ってあなた色に染まります」という時代ははるか昔に終わりました。いまや、それぞれが意見を持ち、それを表明し、その上で立場の違い、利害の対立を超えて、協力しなければなりません。そういうときに大切なのは、阿吽の呼吸が通じないことを自覚し、どうコミュニケーションを取っていくかです。今日は、意見が違う人と、それでも話をしなければならないときについつい私たちがやりがちな「勝つか負けるか」という考え方と、その乗り越え方に関してです。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

だれでも自分の考えと異なる意見がでてくると、瞬間的に身構え、自分の正しさを主張したくなるもの。そういうときに陥りがちなのが、コミュニケーションを「勝つか、負けるか」で捉えることです。

勝つか負けるかという考え方だと、通常「勝たなければ惨めだ」「負けるのは嫌だ」という心理が働きます。

ここに上下関係が入ってくると、立場が上のものは「負けてはいけない(間違ってはいけない)」「いつも正しくあらねばならない」と考えるようになります。一方、立場が下のものは勝つことをハナから諦め、相手に忖度をし、「どうせ何を言っても変わらない」と考えるようになります。その結果、立場が上のものは常に緊張感を抱き、立場が下のものは無力感に襲われます。こういう状況では建設的なコミュニケーションは取れません。

勝つか負けるか、という考えを手放せるといいですね。そのためにどうしたらいいでしょう。

第一に、勝つか負けるか(AかBか)の二つの道ではなく、AやBの意見を吟味する上で、CやDという今までとは異なった意見を見つけるために話をしている、というスタンスを意識するというのもおすすめです。あなたもあなた自身の考えに固執しないので、相手も自分のこだわりを手放しやすくなります。

第二に、相手と勝ち負けの争いに入り込まないための自分なりの言い方をいくつか持っているといいですね。相手のことはコントロールできません。自分は勝ち負けの土俵に乗らないことを意識していても、必ずしも相手も同じとは限らない。そういうとき、たとえ相手が「勝ち負け」モードで話をしてきたとしても、その勝ち負けモードに乗ることなくそれをかわす方法を持っておくことをおすすめします。

例えば私の場合ですが、相手がこちらを言い負かそうとしているのを感じたときには、早い段階で「あなたの言うことは私ももっともだと思います。たどり着きたい先は同じようですね」など、敢えて同じ方向を見ていることを相手に伝えようと意識するようにしています。

戦いたいのではない、同じ目標に向かっているということを相手に伝えるために、あなたはどんなことを意識していますか?

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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