【コミュニケーション】率直な会話の3つのステップ

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。

コミュニケーションの上で率直であることは最も大切なこと

でも、「思いついたことをそのまま相手に言ってしまってかえって関係がギクシャクした」
「思ったことを相手に伝えたけれどうまくいかない」という経験はありませんか。

「なんだ、率直が大事というから率直に話したのに、意味ないじゃん」と、もとのコミュニケーション・スタイルに戻ってしまう。

コミュニケーションにおいて、率直であるということはどういうことなのでしょうか。

第1ステップ

「伝えたいことがあること」と「それを伝えること」を、私たちはついつい一連のことと思いがちです。これを言いたいと思いつくと、次の段階では相手に伝えている。多くの人は、伝えたいことを思いついたら伝えねばならない、伝えるべきだと思っていのではないでしょうか。

本当は自分は何を言いたかったのかを明確にしたからといって、全てを伝えなくてはならないわけではないのです!実自分が言いたいことを明確にするという段階は非常に大切なことなのですが、それは相手のためというより自分自身のためでもあります。

言いたかったことを明確にする=自分のほんとうの気持ちに気づく、ということだからです。実はこれが一番大事な第1ステップです。

自分の気持ちとは?

例えばこんなことありませんか?

高齢の親が、スーパーに日常の食料品を買いに行ったけれど、見ていると自宅にすでにある野菜や肉類をかごにどんどん入れている。

そう言えばこの前も冷蔵庫の中で腐っている食品を山のように捨てたばかり。

昔は無駄使いなどしなかったし、しっかりとした人だったのにどうしちゃったんだろう。

しっかりしてよ!今日は一緒に買物に来られたけれど、いつもは一人で買い物をしてもらわなくちゃいけないんだからね!私だって仕事しているんだから!!

そんな気持ちがむくむくと出てきて、

「おかあさん!これ、家にまだあったでしょ。同じものを大量に買い込んでどうするの!この前も、腐ってたじゃない。何があったか忘れちゃうんなら、紙に書いて持ってくればいいでしょ!」

と何度も何度も言ってしまう。

母親は黙って反論もせずにカートを押している。恥ずかしそうにちょっと笑いを浮かべながら・・・

この娘か息子は、無駄使いが心配で腹が立ったのでしょうか。それもあるでしょうけれど、腹がたった本当の理由は「昔はしっかりものだったのに、昔はできていたことができなくなっている年取った母親に対する哀しみ、せつなさ」ではないでしょうか?

その場合、自分のほんとうの気持ちに気づくとは「ああ、自分は、以前はできていたことができなくなる高齢の親を見て、哀しくてせつないんだな」ということです。

第2ステップ:言うことを明確に

本当の気持ちに気づいたら、次は、そのことを伝えるか伝えないかを決めるという第2ステップです。

「同じ野菜や肉を買い込まないで!腐っちゃうから」という本当に気持ちの手前で留まっていると、自分の気持ちは癒やされることはありませんし、友人に話をしても深い共感を得られることは少ないでしょう。「うちもそう!なんでああなんだろうね!!」で終わってしまうから。

この場合の「言うことを明確にする」とは、「高齢の親を見てせつなくて辛い」ということです。

第3ステップ:伝えるかどうか決める

ここまでくれば、そのことを高齢の親に伝えなくても良いと思えます。伝えたところでお母さんは困ってしまうだけでしょうから。

つまり、第3ステップは「伝えるかどうか、自分自身が決める」ということです。

「高齢の親を見て切なかった」というところまで話ができれば、「本当だね。気持ち、よく分かる。切ないし悲しいよね。でも、あなたはよくやっていると思うよ」と、心の癒やし、慰めが得られるでしょうし、伝えずに胸の中にしまっておくこともできます。

率直な会話とは

率直な会話とは、思いついたことをすぐに口にすることではありません。

●自分のほんとうの気持ちに気づき
●自分が本当は何を言いたいのかを明確にし
●伝えると決めたら飾り立てたり、オブラートに包んだりすることなく、相手に伝えることです。

言いたいことを明確にすることと、伝えることは全く別物。言いたいことが明確になって、言わないことにした、ということもたくさんあるのです。

言うか言わないか、あなたが決めてよいのです。そして、その結果も自分が引き受ける、その繰り返しでコミュニケーションのちからはついてくるのです。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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