「信じ切る」という能力

今日も箱根駅伝復路を見ていました。選手一人一人が力を出し切って力走している姿に、毎年のようにじ〜んとしてしまいました。監督を信じ、仲間を信じ、日々の鍛錬を積んでいるのでしょう。そこで思い出したことがあります。

高校生の頃の体育の先生は、若い頃体操の選手だった人でした。国体選手にも選ばれて、選ばれなかったのは唯一オリンピックだけだったという話をしてくれたことがありました。率直で、別け隔てのない先生でした。

私のクラスに非常に運動神経の良いAさんというクラスメートがいました。その体育の先生の目から見ると、10年に一度の高い運動能力を持っている逸材ということでした。体操の選手としてぜひ育てたいという気持ちがあり、彼女もその期待に答えるべく、体操部に入りました。しかし、先生はある時点でその夢を諦めたということでした。その理由が、「Aさんは人を信じきれないところがある。」ということでした。ある技を習得するためにコーチが補助をするとき、コーチを信じきらないと技の習得はできないというのです。どこかで信じ切っていないから完全に身を任せられない、従って技を習得できない、そんな話だったように思います。コーチであれば、選手に不利益になるようなことなどするわけがないのだから、技の習得のために100%身を任せる、彼女はそういうことがどうしても出来なかったようです。

その話は当時、高校生だった私の深いところで共鳴し、ずっと心に残っていました。その後、オリンピックを始めとする一線のアスリートを見ていると、主体的でありながらも、一旦決めたら自分やコーチを信じ切るところがあります。一方で私たちはどちらかと言うと「人を信じ切るのは甘い」とでも言うように、容易に人を信じきることが出来ないように思います。私自身は、Google mapのナビすら信じきれずに、目的地周辺をひたすらぐるぐるしたことが何度あったでしょうか?

主体的でありながらも、一旦決めたら愚直に相手を信じ切ること、これも一つの重要な才能、リソースです。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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