今さらだけど、リモートワークでコミュニケーションが難しい問題

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

管理職の方と話をしていると異口同音に「リモートワークはやっぱりコミュニケーションが難しい」と言う。私はホントかな?とずっと思っている。

リモートワークになってコミュニケーションが難しいのではなく、コロナ禍前のオフィスに集合して仕事をするスタイルのときに通用していたコミュニケーションスタイルと、リモートワークで求められるコミュニケーションスタイルが全く異なっているということなんじゃないかと思う。

在宅勤務が増えたことにより見えてきたコミュニケーションの問題

コロナ禍で、在宅勤務という働き方の選択肢が増えた。あれだけのことがないと、ここまで定着はしなかっただろうなと思う。そのこと自体はとても良かった。そこで、新たな課題として認識されたのが、リモート勤務が続くことによるコミュニケーションの問題。

つまり、社員がオフィスという一か所に集まって対面で仕事をしていたときは、コミュニケーションのスキルが少々なくたって良かった。なぜなら、リカバーすることはいくらでもできた。それこそ、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式で、思いつきで話をして、まずかったと思えば後で何度も修正すれば良い。←ある意味、非効率な会話だとも言える。これが悪いわけではない。

毎日毎日、朝から晩まで同じ空間で仕事をしていたときは、ちょっとくらい言葉が足りなくたって、少しくらい不機嫌な表情をしていたって、いくらでも後で修正するチャンスはあった。

会話には、チャットでわざわざ言うほどでもないことが溢れている

例えば昨日、あなたが部下にダメ出しの嵐をして部下がしょんぼりしていたって、翌日に「昨日はああ言ったけど、こういう点は良かったと思っているよ」と付け足すことがいくらでもできた。でも、それをリモートでしようとするとこんな感じになる。

上司:(わざわざチャットを使って文字で)「昨日言った、お客さんへの説明の仕方についてなんだけど。昨日はあれはだめ、これはダメみたいに言ったけれど、ちょっと補足したいからさ、後でちょっと話しない?」

あるいは

「昨日言った、お客さんへの説明の仕方についてなんだけど。昨日はあれはだめ、これはダメみたいに言ったけれど、それだけじゃないよ。あなたの説明の良いところは・・・」

こんなふうに改めてメッセージを送る人がどれくらいいるだろうか?多分いない。

その時に浮かぶ考えはこうだ。

「話があるんだけど」と言うほどのことでもないし・・・

って、やっぱり思うものだ。そうすると、双方ちょっとしたわだかまりが生まれたら、結局そのままになってしまって修正する機会を失う

では、コロナ禍前のように出社必須に戻せば解決か?

数は少ないだろうが本当にコミュニケーション能力が高い人は、コロナ禍でリモートになって少し戸惑っただろうけれど、うまく適応できたと思う。いつ、なにを、どこまで言うべきか、考えながらコミュニケーションを取れるから。

でも、多くの人は、リモートワークのようにリカバーする機会が少なくなるとてきめんに、コミュニケーションのズレが表面化してしまう。そしてリモートで仕事をしていると、そのズレを修正する機会が圧倒的に少なくなっているのでもうどうにもならない。

それなら、リモートワークやめて、全員が出社すればいいじゃないという意見が必ず出てくる。それはちょっと違うと思う。もうスマホがない時代に戻れないように、リモートワークは大きな選択肢の一つに定着した。だから、私たちがそれに適応していくしかない。

コロナ禍前はコミュニケーションがうまくいっていたのに、じゃなくて、多分コロナ禍前は、無駄打ちのような非効率な会話の形でなんとかカバーできていたってことじゃないのかな。それがダメってわけじゃない。あなたはそういうスタイルだということ。

そこを理解しないことには、今のコミュニケーションの課題は乗り越えられないように思う。

ではどうしたら良いのか?

あなたがもし「コロナ禍前は問題なかったのに、コロナ禍以降、リモートワークやチャットでの会話が多くなってコミュニケーションが難しくなった」と感じていたとしたら、それが一つの目安になると思う。

リモートワーク用にコミュニケーションスキルをアップしましょうと言われたって、それはすごく時間がかかる。眼の前の仕事だけで手一杯だという人が圧倒的だと思う。それは現実的じゃない。

大切なのは「あとからたくさん補足する、いわゆる一見非効率な会話でうまくいっていた人」は、いまもそのスタイルを続けるというのも一つだと思う。じゃんじゃんチャットを飛ばして、「ちょっと話をしよう」、あるいはテキストで「昨日はああ言ったけれど、伝え忘れたことがあるから補足するね」とズレを早めに修正するとか。

毎日短時間でもリモートで会話をする時間を持つとか。

そんな時間はない??でも、オフィスで集合型で仕事をしていたときに長々と無駄話をして煙たがれていなかった?

良くないのは自分のタイプを知ることもなく、流れに任せてしまうこと。リモートワークがメインになったら、前なら伝えていた雑談に近い部分の補足をなんとなく伝えなくなった。何日も業務連絡のみでそれ以外のコミュニケーションがなくなった。それを「リモートワークだから」「コロナ禍だから」の言葉ですり替えてしまうのがまずい。あたかも、だから仕方がないというように。でも、現実はコロナ禍前には戻れない。ならば、自分のコミュニケーションパターンを知り、それに合った対応をしてはどうだろう。

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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