怒りの奥にあるもの

昔、スーパーマーケットで見かけた光景です。

「これは家にあるでしょ。同じものを何個も買ってどうするの」50代くらいの息子さんが、70代後半に見えるお母さんを叱っていました。

お母さんは言い返すこともなく、恥ずかしそうに笑って黙っていました。

家電量販店でも、似た場面に出会いました。40代くらいの女性が、高齢のご両親に向かって作り笑いのまま、立て続けに説明している。ご両親は下を向いて微笑みながら、その言葉をやり過ごしていました。

見ていて、胸がぎゅっとなりました。

あの息子さんの怒りの奥にあったのは、たぶん怒りではありません。老いていく母親への不安。大切な人が少しずつ変わっていくことを認めなければならない、切なさ。悲しさ。

怒りは、多くの場合、自分の気持ちを守るための反応なのだと私は考えています。不安や悲しみや恐れと正面から向き合うのはつらい。だから無意識に、怒りという形に変えてしまう。

たとえば、家族が連絡もなく夜遅くまで帰ってこない。時間が経つほどに、良くないことばかりが頭に浮かぶ。そこへ、能天気に帰宅した家族の顔を見た瞬間、怒りが爆発する。声が震え、涙が出るかもしれません。

でも、落ち着いたあとに、こう伝えられたらいい。

「心配で心配で、どうにかなりそうだった。顔を見たら安心して、急に腹が立ったの。怒鳴ってごめんね」
怒りを感じたら、まず一呼吸置く。できればその場を離れる。そして自分に問いかけてみる。

——私は本当は、何を感じているんだろう。

不安なのかもしれない。悲しいのかもしれない。寂しいのかもしれない。

怒りは悪い感情ではありません。心の奥にある大切な気持ちが、届けようとしているサインです。

次に腹が立ったとき、その奥にある本当の気持ちに少しだけ耳を傾けてみませんか。

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この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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