先日、都内のある自治体でメンタルヘルス研修をしてきました。昨年、初めてお伺いしたところなのですが、ありがたいことに「今年度もぜひ」とお声がけをいただいて、二年続けての登壇となりました。
メンタルヘルス対応で何より大事なのは、「早期発見」、そして「早期対応」です。
でも、ここでちょっと立ち止まってほしいんです。早期発見とは、具体的に何をしたらいいのか。気がついたとして、対応とは何をどうすることなのか。これが案外、知られていないんですね。
メンタルヘルス対応が身につかないのは、確定申告と同じ理由
ここで、あなたに一つ質問です。あなたは、日々のルーチンワークをどうやって覚えましたか?
たぶん、研修で習ったからではなく、毎日毎日やるうちに自然と身についた、という方が多いのではないでしょうか。あのときはこう言ったらうまくいった、この場面ではこうしよう、と体が覚えていくわけです。
でも、メンタルヘルス不調の方は、そうそう毎日あらわれるわけではありません。毎日現れたら、それはそれで大変ですよね。
たとえるなら、確定申告みたいなものだと思っていただければいいのかなと。年に一度のことだから、そのたびに「あれ?これ、どうやるんだったっけ・・・?」と最初から調べ直す。そう、あの感じです(笑)
だから、研修で一度さらっと聞いたくらいでは、日常の仕事の中でなかなか生かせない。いざというときに思い出せないのは、あなたの記憶力の問題ではなくて、そもそも日常業務になっていないからなんですね。
早期発見とは、「いつもと違う」に気づくこと
・・・でも、ここからが今日いちばんお伝えしたかったことです。
職場の上司、総務・人事の人は医療の専門家ではありません。ですから、病気かどうかを判断してほしいわけではないんです。
実は、日常のちょっとしたことに気づことが大切。大げさな面談も、専門的な知識も、必要ありません。
「あれ、いつもと違うな」
朝の挨拶の声が小さい。遅刻が増えた。前はしなかったミスをする。表情がなんだかボオッとしている。
その「いつもと違う」に気づけるかどうか。ここが早期発見なんです。
逆に言えば、普段のその人を知らない人には、気づきようがありません。日ごろ隣で働いているあなたにしかできないことなんですね。
一人で抱え込まない。「つなぐ」ところまででいい
そしてもう一つ、どうしてもお伝えしたかったこと。それは、上司が一人で抱え込んではいけない、ということです。これは、上司が一人で解決する問題じゃないんです。
気づいたら、まず話を聴く。そして、誰かに、どこかに、つなぐ。自分の上司でもいい、産業医でも、人事でもいい。
「自分が何とかしなきゃ」と背負い込んだ上司が、今度はご自身がぐったりしてしまう・・・そういう場面を、私は本当にたくさん見てきました。抱えきれないものを抱えるのは、優しさではなく、遠回りなんですね。
気づく、聴く、そして「つなぐ」。この三つが、あなた自身を守りながら、部下や同僚のメンタルヘルス不調に早く手を打つコツなんです。
そんなことを、今年もお伝えしてきました。
あなたは今日、隣で働く人の「いつもと違う」に、気づけそうですか?
まずは明日の朝、挨拶をするときに、ほんの一瞬だけ相手の顔を見てみてくださいね。それだけで、もう十分に第一歩です。
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