おとなになると、「言いにくいな。なんで自分が言わねばならないのかな」「こんなこと、できれば言わないですめばそれに越したことはないよな」と思うことが増えていきますよね。言いにくい気持ちが募ると「なんで私がこんなことで悩まなくちゃいけないのか?」と、そういう状況にした相手を恨むようになります。それで、言わずにすむなら良いのですが、それでも言わねばならないときのちょっとしたコツについての話です。
こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。
立場が上であっても下であっても、時には問題解決のために言いにくいことも伝えねばならない場面があります。
そんなときには、当然ですが言いにくいことを伝える方も緊張しています。これは立場が上でも下でも同じです。緊張していると、どうしても表情はこわばり無表情になります。無表情で緊張しているので、相手にはまるで怒っているかのような印象を与えてしまいがち。だから言いにくいことを言わねばならない場面というのは、ギスギスした空気になってしまうのですよね。
緊張感漂うギスギスした空気に加えて言いにくいことを伝えるのですから、意を決して息を詰めて一気に話すということになってしまいます。そういう伝えられ方をした相手はどんな気分でしょうか?ともすると「一方的に言われた」という気持ちになってしまいます。一方的に言われるというのは、立場に関係なく、やはり自分のことをていねいに見てもらえていないという気持ちにさせます。
頑張っているのに・・・気を配っているのに・・・
こういう齟齬は、長い目で見ると信頼関係が損なわれることになりかねません。
そんなとき、「私からもっと早くこのことを伝えておけばよかったですね」「私ももう一度確認しておくべきでした」など、自分の責任にもサラッと軽く触れることをおすすめします。コミュニケーションにおいては、どちらかが100%間違っているということはないからです。
こういう一言があると、相手は「一方的に自分が責められている」という思いが減少します。その結果、相手も話を聞く耳を持ってくれる可能性が高まるのですね。
コツはサラッと一言伝える、ということです。何度も言うと、それはそれで必要以上にへりくだっている感じが相手に伝わり、コミュニケーションがギクシャクします。どうぞお試しあれ。