チーム内の生産性が低い人にどう対処するか

こんにちは。コミュニケーションスキルと自分の強みを活かすことにより、ストレス軽減のサポートを行うストレスマネジメント・コーチの本間季里です。

数年前、昆虫の行動を研究している人から興味深い話を聞きました。「アリやミツバチの巣を観察すると、集団の中で働いているのは80%、残り20%は働かない集団、これは生物の原則だ」

私たちはついついアリやミツバチは働き者だと思いがちですが、注意深く観察をすると働いているのは80%くらいで、残りの20%のアリやミツバチはあまり働かないそうです。なんだか、私たちのチームや組織と似ていますよね。

さらに面白いのは、働かない20%のアリやミツバチを巣から排除すると、いつの間にか今まで働き者だった集団の中から20%程度が働かなくなり、結局、20%の働かない集団と、80%の働く集団へと落ち着くそうです。

身の回りのチームや組織を見ても、まあ、似たり寄ったりではないでしょうか。そして、

1)20%の「生産性がいまいちな集団」の生産性をあげようと、マネージャーが必死になって彼らの指導をして疲労困憊する。

2)「生産性がいまいちな集団」は細かく指導が入るため、かえって萎縮して、やれることまで失敗したり、やる気が低下する。

3)80%の働く集団は何も言わなくてもやるべきことをそこそこやってくれる人たちなので、次第にそれが当たり前になり、マネージャーはついついこまめな声かけ(承認)をしなくなるため、彼らは待遇に不満を持つようになってしまう。

かくして、組織全体のモチベーションが下がり、生産性がイマイチとなっていく。

80%の集団はなぜ不公平感を持ち、不満を溜めていくのか?

給料や役職などの待遇が、生産性がいまいちな集団とさして変わらないのに、一方はそれで許されている。自分たちはこんなに頑張っているのになぜ??という点ではないでしょうか?

では、その不公平感を払拭するためには何が必要なのか?

それは承認、自分の貢献がちゃんと認められているという実感です。

もちろん、マネージャーとしては生産性がいまいちな20%の人たちを放っておくことはできないでしょう。しかし、定期的な面談や日々の声掛けなどを粛々とやるにとどめ、むしろ成果を出している80%の集団のメンバーに対して、日々しっかりと承認を伝え、モチベーションを高めてていく、ということに意識を向けることが大切ではないかと考えます。意識を向けるのは、黙っていても仕事を進めている80%の集団です。

次回は、承認について詳しく書こうと思います。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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