「何か良いアドバイスありますか?」と聞かれて、それなら!と勢い込んで話をしていると「難しいですね」と話を区切られてしまうこと、ありませんか?あるいは、あなた自身がそう言ってしまうことはありませんか?
こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。
まるっと総括して話を終わらせたいときに出る言葉
まるっと総括して話を終わらせたいとき、この言葉が出てきませんか?本当に難易度を検討して「困難だ」という意味で「難しいですね」と言っているのではなく、「これ以上細かいことをあれこれ考えるのもしんどいな」というときに、まるっと話を総括してしまう。
そういうときに「いえいえ、全然難しいことなんかないですよ」と言ってさらに説明しても、相手の耳に音としては届いても、すでに脳が内容を吟味・理解することを拒否している、そんな感じです。
産業医・コーチとして多くの方と話をする中で、この「難しいですね」関連で気をつけていることは以下の2点です。
1)このまるっと総括する「難しいですね」が出てきたらその話題はやめる。
2)相手から頻繁にこの「難しいですね」が出てくるようなら、心身が疲弊しているのかなと考える。
脳の疲労度のバロメーター
あなたが考えているよりもずっと、脳はすぐ疲れてしまうもの。疲労度の良いバロメーターがあったら良いのに、と思うことはありませんか?
人それぞれバロメーターはあるでしょうが、ちょっと込み入った話、自分の想定から離れた話になると途端に面倒くさくなって「難しいですね」と話を終わらせようとするときも要注意。
疲れてしまう原因がなにかありませんか?
●仕事が忙しくて、という場合は早めに業務分担の見直しを。
●答えが出ようがない問題をずっと考えているときも、脳は疲れます。例えば「私は課長から嫌われているんじゃないだろうか?」という疑問に対していくら考えても正解は出てきません。なぜなら、その答えを知っているのは課長だけだからです。でも、案外私達はこの手の「答えが出ないこと」をずっと考え続けて空回りして脳が疲弊してしまうということを繰り返しがちです。
脳はなにがしかの答えが出るまで考え続けます。表面には出てこないけれどもパソコンのバックグランドでずっと検索結果を探し続けるようなことが脳内で起きているのです。答えが出ないことにケリをつけずにいると、明確に考えごとをしている自覚はなくても無意識にずっと考え続けるということになります。そして脳のエネルギーは奪われていきます。
答えが出ようがないことは、一旦ケリをつける習慣を持ちましょう。
答えが出ないことに一旦ケリをつけるとは?
例えば、「私は課長に嫌われている?」という疑問が湧いたら、「私を嫌っているかどうかは課長しかわからない。こういう状況が続くなら部長に相談してみよう」などのようにです。
恋人に対して「私のことをどう思っているのかしら」と不安になったら、「それは本人にしかわからないことだ。だから恋人の言葉を信じよう(あるいは、こんなことを何度も繰り返しているから、もう信じられない)」と、自分の中で一旦ケリを付けてみる。一旦ケリをつけたからと言って全部行動に移さなくたって良いんです。
これはもう疲れ切ってしまうまで考え続けがちな人には、是非試してみてほしいことです。なぜなら、あなたの持っているエネルギーは限りあるものだから。限りあるエネルギーならば配分は大切です。あなたが本当に大切なことにエネルギーを注いでいきましょう。