頼まれごとをして、理性と気持ちが乖離しているとき

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

あなたは頼まれごとをして、頭では気持ちよく引き受けたほうが良い、そうすべきだとわかっているのに、どうしてもそういう気持ちにならないということはありませんか?一度もありません、という人はまずいませんよね。

感情が抵抗している

冒頭の例は、いろいろな場面で本当によく相談を受けるお悩みです。

そういうことが起こるのはなぜでしょう?それはあなたの感情に全く配慮をしていない頼みごとだからかもしれません。理性では「引き受けたほうが良い」と思っても感情が抵抗をしているのです。

例えば、誰もが敬遠することってありますよね。PTAの役員とか、自治会の担当とか・・・多くの人が気が重いのならば、あなただって気が重い。なのに「気が重いと思うのだけれど」の一言もなく、「あなたなら適任だと思う」などと言われたら、押し付けられ感満載ですよね。

あなたの感情って?

あなたの感情ってなんでしょう?

あなたが今疲れているとか、ちょっと嬉しくて聞いてほしいことがあるとか、喜びを共有したいと思っているとか。あなたの感情ってそういうことです。

そう、伝え方って、感情をしっかりと扱うことがとっても大切なんですよね。

感情を扱うとは?

感情を扱うとはどういうことでしょうか?次の2ステップで考えます。

1)まず、自分自身の感情を意識して気づくことです。

 「イライラしているんだな」
 「焦っているんだな」
 「嬉しいんだな」
 「得意げな気持ち!」

実はわたしたちは、自分の感情をそのままに受け止められていないことがほとんどです。そのままの感情って、格好悪くて無様で、自分の弱さが丸出しだったりするからです。ですから、普段の私達はどちらかと言うと、「こうあってほしい」「こうでありたい」ということに無意識に合わせようとします。そのほうがスマートだし、自己認識が崩れずにすみますからね。

2)次にそういう感情を抱いているときは、あなたは一体どういう表現、伝え方になるのか振り返ることです。

たとえば私。私は焦っているとき、まるで怒っているような話し方になってしまいます。相手は「何を怒っているんだろう?」とびっくりして私を避けていきます。

でも、実は私は焦っているので不安なのです。決して怒っているわけではない。それが私の表現のクセです。これはちゃんと意識していないと、本当は助けてほしいときに、それがうまく伝わりません。

だって、私が怒った顔して「助けてほしいのよっ!!」と言ったって、あなたは「助けてほしい??そんなに怒っていて?」と混乱してしまうからです。

ならばどうしたら良いのか?

釈然としないけれど、頭で「引き受けたほうが良い」と思っているならば、できるだけストレスを減らして引き受けて、先に進んだほうが良いですよね。

ただし、気が進まないならば、サラッと断るという選択肢も一度は考えてみてくださいね。「断れない」「気持ちよく引き受けたほうが良い」というのも、あなたの間違った思い込みかもしれませんからね。

それでも、「仕方がない。引き受けよう」と思うならば、上記1)2)を考えるために一呼吸おきましょう。「少し考えてからお返事します」というのも良いですね。

せっかく少し考える時間を取ったのに、「全くもう!気が進まないのに引き受けざるを得ないじゃない!」とここの部分だけで堂々巡りをしていては時間の無駄になってしまいます。先にも進みません。自分の気持ちを受け止め、ではどうするかを考えましょう。

あなたが頼む側のときに気をつける一つのこと

もし、あなたが「これって誰もが気が進まないんだよな」ということを誰かに頼まなければならないときは、何に気をつけたら良いでしょう。

もうそれはたった一つです。

相手も自分同様、気が進まないということに共感を示すことです。共感とは同じ気持ちになれということではありません。同じ気持ちを感じなければならないということでもありません。

ただ、

あなたが気が進まない、気が重いということはわかっています。
私も同じです。その上でお願いできませんか?

と相手の気持ちに配慮、尊重を示すことです。それが共感。

ぜひお試しください。

この記事を書いた人

アバター画像

本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。