自分の長所を知るための2つのポイント

もう1年ほど前のことになるでしょうか?20年来の友人と、私の運転でドライブをしていたときのこと。

「私、最近、車の運転をすると人が変わるんじゃないかな、って思ったんだよね」

 私がそう言うと、助手席に乗っていた友人はゆっくりと顔をこちらに向けて、目をまん丸くさせて、「え?今頃気づいたの?」

とボソリと一言・・・

というできごとがありました。

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自分のことはわからないもの

 この私のエピソードでもわかる通り、人は自分のことって本当にわからないものです。

 友人に言わせると、知り合った頃、すなわち、20年以上前から「運転するときは人が変わるんだな」と、よく思っていたそうです。それなのに「へえ、最近気づいたんだ・・・」という反応で・・・

特に良い点は自己否定しがち

 自分のことは自分ではなかなか気づかないものなので、他人からのフィードバックがとても重要になります。

 特に欠点よりも良い点のほうが自覚しにくい。それには理由が2つあると思っています。

1)長所や強みは、自分としては当たり前にやっていることだから、それが他の人にとっては当たり前じゃないのだということに、そもそも気づきにくい。

2)自分にとっては自然にやれてしまうことだから、褒められても「誰でもそうなんじゃないの?」という考えが頭をもたげて自己否定してしまい、素直に受け取りにくい。

日本では良い点を伝える文化があまりない

 例えば私の場合「あなたの声はとても聞き取りやすい」とよく言われるのですが、自分の耳を通して聞こえている自分の声はあまりに当たり前過ぎて、良いも悪いもわからないわけです。

 ただ、前職で医学部の学生に授業をしていたときに、毎年数人は必ず「声がすごく聞き取りやすかった」「声が聞きやすかったので、授業の内容もすっと入ってくる感じがした」という感想を書いてくれていました。それで段々と、自分の声は聞き取りやすい声なんだなと、自分の長所を理解をしていくわけです。

 以前に比べると徐々にではありますが日本も変化をしてきてはいますが、日本では残念ながら良い点を伝え合う文化があまりないので、自分の良い点を自覚する機会がまだまだ少ないのは残念な点です。

フィードバックを受け入れやすくなる2つのポイント

 

 このように、率直なフィードバックが何度もあると、徐々に受け入れられるようになります。ポイントは次の2つ。

1)一人だけではなく、別の人も同じポジティブ・フィードバックを言ったとき

2)同じ人からであっても、別の場面で、何度も同じポジティブ・フィードバックがあったとき

 

 病気の診断でも、セカンド・オピニオンが広まっていますよね。一人の医師の判断だけでなく、別の医師の判断を聞いてみるというもの。2人あるいは3人の医師が同じ意見だったら納得いくでしょう。

 それと同じで、ついつい自動的に「誰でもできることよ」と自己否定してしまう自分の長所も、別の人からも、違う場面でも繰り返し伝えられると、自分の長所としてはっきりと認識できるようになります。

 そのためには、気づいたらポジティブ・フィードバックをする習慣をつけていくことが大切ですね。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。