事実だけ繰り返すのは相手の気持を波立たせる

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

財布を落とした!それも年末に!!

年末に財布をなくしました。

結局財布は落としたのではなく、車の中でバッグから滑り落ちていただけだったのですが、そのことがわかるまで慌てふためきました。

まず、最後に寄ったスーパーマーケットに電話をしました。

私が電話で「そちらにエビ茶色の横長財布を忘れてきたしまったみたいなのですが」というと

電話対応をした男性は、「そうですか。こちらには届いていませんね」

電話のむこうの担当者の対応に徐々に怒りが・・・

私は焦りまくっていたので、

●そこになかったらどこだろう?

●ええっと、本当にこのスーパーが最後だったっけ?

と高速で頭が回転していて、しばし、無言になってしまいます。

すると、先方の男性が

「もしもし、お客様。聞こえてますか?こちらには届いていません」

私はそれでも混乱して

「えーと・・・えーと・・・」という状態。

「もしもし、お客様。聞こえてますか?とにかくこちらには届いていませんから

これを繰り返していました。

事実だけ繰り返すと冷たさ、攻撃的に聞こえるもの

私は次第に腹が立ってきました。と同時に、「なんでこんなに腹が立つのか?」とも考えました。←ま、伝え方コーチですからね。

そして、「自分の財布はどこに?」という大問題は横に置き、電話の向こうの男性に思わず説教をしてしまったのです。

「わたし、財布を落としてものすごく困っているし、いま、すごく焦っているんです。

財布がそちらに届いていないのはわかりました。だけど、今すごくあなたに腹が立っています。

理由は、ただ、『財布は届いていません』という事実を繰り返すだけだからです。

『それはお困りですね』とか、『ご不安ですね』という共感する言葉が一言もないからです。

これ、めちゃくちゃ腹が立ちます。不安な気持ちがぐるっと怒りの気持ちに変わってしまうんですよ。

一言、共感の言葉を伝えるようにしたほうが良いと思います。」

共感の言葉をさらりと一言添える

いや、恥ずかしいことではあるんですが、焦りまくっていた最中に、とても大切な気づきでした。

それと同時に、いかに「わかってもらえた」「話を聞いてもらえた」「自分の状況に寄り添ってもらえた」と感じられるか、感じられないかで、こちらの受け止め方や気持ちは、天と地ほどに違うんだなということ。

長年、カスタマーセンターでクレーム対応の教育をしてきた方と、先日話す機会があったのですが、やはりまずは「相手の話を受け止める」ということが大切だということでした。

まずは「それは大変でしたね」「それは痛かったでしょう」などの共感の言葉をかけることの大切さ。身にしみてわかりました。

あなたも相手がオロオロと慌てているときほど、まずは共感の言葉から始めてみませんか?

加えて、そのあと、財布を発見できてよかったです。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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