職場のメンタルヘルス:なぜ「ななめの関係」が重要なのか

職場でストレスを感じ、仕事や日常生活に影響が出始めたら、あなたはどこに相談していますか?

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

実はいろいろある社内相談窓口

ある規模の会社だと、社内相談窓口を設置することが義務付けられています。

  • ハラスメント相談窓口
  • キャリア相談窓口
  • 両立支援相談窓口
  • 労働組合

その他に、人事・総務や産業医や産業保健師などの産業保健スタッフも相談窓口の一つですよね。

ぱっとあげただけでもこれくらいは出てきます。でも基本的には仕事で困ったときに、上司に相談するのがまず最初の手順でしょう。

ただ、社内研修などのアンケートで本当に多いのが、「上司にまず相談しろというが、その上司がストレス源という場合はどうしたら良いんですか?」というものです。

ななめの関係

正式な相談窓口を活用することも大切ですが、非公式な「ななめの関係」も非常に効果的です。この「ななめの関係」とは、現在の上司やチーム以外との、ゆるいつながりのことを指します。

たとえば、以前の上司や先輩などがすぐに候補として上がるでしょうか。今の上司というのは、どうしても身近になりすぎてうまくいかないことも多くなりがち。少し離れた関係性のほうがうまくいくことが多いものです。

例えば親子など、あまりにも身近な存在ですと関係性がこじれることが多いもの。それは多くの人が感じていることではないでしょうか?それと同じで、直属の部下にとっては厳しくて近寄りがたい上司でも、ちょっと離れた部署の人にとっては話しやすい人だったりします。これは産業医面談をしているとよく遭遇する場面です。

ある部下にとってはストレス源の上司。隣のチームの人にそれとなく話を聞いてみると「あの課長、面白い人ですよ!いろいろと相談に乗ってもらっています」という返事が返ってきたりしますからね。

どれだけななめの関係を持っているか?が鍵

職場でのメンタルヘルスを保つためには、各種の公式な相談窓口も非常に重要です。しかし、それだけでなく、「ななめの関係」も同じくらい大切。特に上司との関係がストレスの原因となっている場合、この「ななめの関係」が非常に役立ちます。

ではどうやってななめの関係を維持したら良いのでしょうか?もちろん思いつきで「そうだ!あのひとに相談してみよう!」ということでも快く相談に乗ってくれる人は多いでしょう。人は基本的に頼られると嬉しいものだし、誰かの役に立ちたい生き物だからです。

でも、何年も前のかつての上司ですと、「あれからの歴史」を延々と説明するとことから始めなくてはなりません。本題に入るまでに時間がかかるし、その前に本題からズレまくる、ということも想像に難くないです。

話しやすい上司だったな、自分の成長を後押ししてくれた上司だったな、いろいろなものの味方ができるひとだったな、そういう上司に出会ったら、その後もそれとなく付かず離れずの関係を維持できるように連絡を時折取っておくとか、軽い相談ごとをしてみるなども良いですね。昔ですと、年賀状のやり取り、そんなイメージでしょうか?こうやってゆるく関係性を維持しているといざというときにも気軽に相談できますよね。

日常業務の中で自然と築くことのできる「ななめの関係」を意識的に作ることで、様々な問題やストレスに対処する手段を増やすことが可能です。是非とも、この「ななめの関係」に目を向け、早めにストレス軽減できる職場環境を作っていきましょう。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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