他者への寛容さは、まず自己受容があってこそー漫画から学んだ自己受容の重要さ

こんにちは。伝え方改善コーチの本間季里です。あなたのコミュニケーションをより良くするために、あなたの性格を変えるのではなく、伝え方を変えるサポートをします。頭でわかった、ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

年末年始休みに何十年ぶりかで漫画を読みました。練馬ジム作「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!第一巻」。LINE漫画で評判だそうです。書籍になったので読んでみました。

正直、最初は笑える「おっさんのパンツ」の種類の話かと思っていましたが、いえいえ、テーマが結構深いんです。

年頃の娘と息子がいるサラリーマンの主人公。一家の大黒柱はかくあるべしという信念に基づいて日々頑張って働いています。が、妻と娘には相手にもされず、息子は引きこもって化粧に興味を持っている。部下はメンズブラをしているらしい。自分の価値観からは考えられないことが次々起きて、はじめは自分の正しさを押し付け相手を変えようと必死になりますが、大地さんという妻の友人の息子を通じて「まずは自分が変わること」を選んでいきます。

この大地さんはゲイという設定ですが、実に爽やかな青年です。主人公が初めて大地さんに会ったのが駅の階段。階段から落ちそうになる主人公をさっと支えて、爽やかに立ち去っていく青年、それが大地さんでした。後に、ゲイの大地さんが引きこもっている息子の話し相手になっていると知って、主人公は激昂します。見ず知らずの青年として立ち居振る舞いを見ていたときには「良い青年」だったのに、「ゲイである」という情報が加わった途端、同じ大地さんなのに評価が豹変する主人公。反発する息子。

でも、大地さんは揺らぎません。そんな主人公に対して、主人公を非難するでもなく自分を卑下するでもなく、これまでと変わらぬ態度で「ゲイに会うのは始めてなんですね」と爽やかに伝えました。また、混乱して家を飛び出した主人公が「家族が趣味なんて変じゃないか?」と言うと、大地さんが「変かどうかは自分で決めていいんですよ」とも言います。非常に主体的ですよね。伝え方改善コーチとしてはおもわず、付箋を張りましたよ!

大地さんはしっかりと自己受容ができている印象です。ですから、ゲイという理由で批判されても相手の土俵に乗ってしまうことなく、自分の土俵にいたままで、価値観が全く違う相手とも対話ができるのですね。ここまでの自己受容ができる過程ではきっといろいろな葛藤や苦しみがあったと思いますが、そういうプロセスを経て自己受容ができているからこそ、相手にも寛容になれるんだな、と感じました。

こういうテーマを重苦しくならずにこの軽さで読ませるのって、かなり難易度が高いと思うのですが、構成がしっかりしているので楽しく読み進めながらも、主人公の「相手が変わるべき!から自分が変わってみよう」への変化にしんみりとしてしまう話でした。また、この話に出てくる人全員、誰も悪者がいないのも、絵がとても綺麗なのも爽やかな読後感に繋がるのではないかなと思いました。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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