怠けているように見えるかもしれないけれど

こんにちは。コミュニケーションスキルと自分の強みを活かすことにより、ストレス軽減のサポートを行うストレスマネジメント・コーチの本間季里です。 

あなたは、子どものころ(だけではなく、成人後もオトナゲなく)、ズル休みをしたことがありますか? 

職場には時々、勤怠が不安定な人がいます。 

よく遅刻する、「午後から出社します」と連絡が入るけれど、昼近くなると「やっぱり今日は休みます」。 

いつ出社していつ休むのかなかなかつかめないので、仕事をお願いすることもなかなかできません。 

こういう人に、出社できるようになるちょっとしたコツを色々と提案しても、事態はなかなか改善しません。周囲は「こんなに考えているのに、これ以上どうしたら?」と途方に暮れるし、本人は「周囲の人の気持ちはわかるけど、それに応えられないだめな自分、、、」と、どんどん両者のギャップは大きくなっていきます。 

職場の人や人事関係者は、こういう人のことを「怠けていて困る」と思っているのかもしれませんが、私に言わせると、「何もしていない割に激しく脳疲労を起こしていて、休養が必要です」という状態に見えます。このことはなかなか理解してもらえません。でも、こんなふうに考えてみたらいかがでしょうか?当人の脳内は例えばこんな感じ。 

  1. 朝ぐったりしながらも出社しないといけないと起き上がる。 
  2. でも、すでにぐったりしていて出社したくない。できない、と思う。 
  3. でも!昨日も休んだし、今日は出社しいなくちゃ職場に迷惑をかける、と思い直す。 
  4. 歯を磨き始める。 
  5. ああ、でもだるいし、昨日も休んで迷惑かけちゃったし、行きづらいと思う。 
  6. だめだ、なんとしても行かなくちゃ、と頭では思っている。 
  7. だが、心では「あそこが調子悪い」「ここが調子悪い」と思っている。おまけに任された仕事は超苦手。どうしよう。 
  8. 逃げちゃいけない!と脳内のもうひとりの自分が発破をかける。 
  9. だけど、、、だけど、、、体調悪いし、、、もうこの時点でぐったり疲労困憊。電話しなくちゃ、いや、出社しなくちゃ、ああ、もう出社時間だ、どうしよう。 
  10. やっとの思いで職場に電話して、本当なら「今日は休みます」と言いたいのに、ついつい「お昼から行きます」と言ってしまう。その時は、「大丈夫だ、お昼からは行ける」と思っている。 
  11. ちょっと気が楽になる。そうだ、お昼までには体調整えて身支度して会社に行こうと心に誓う。 
  12. でも、お昼がだんだん近づくと、、、②に戻ってリフレイン、、、 
  13. ついに決死の覚悟で、「やっぱり体調が悪いので今日は休みます」と会社に電話する。何故か心は軽くなる。 

毎日、毎朝、この激しい葛藤を繰り返しているとしたら、なんとエネルギーの浪費をしていることでしょう。自分のやるべきこと、やりたいことに割くべきエネルギーなど残ってはいません。気の休まる暇もない、ということが少しおわかりいただけましたか。 

そして、誰にもここまででないにせよ、プチ・行かなくちゃ/行きたくない葛藤は経験があるのではないでしょうか。 

だからって、それを許せというのか!と怒り心頭のあなた。お気持ちわかります。一つの提案は、思い切ってしっかりと休むことで、この葛藤のネガティブループを一旦断ち切ることです。そして毎日の葛藤で枯渇したエネルギーを再び充足させ、その上で「自分にとって仕事とはなにか」について、自分の人生の中の大切なピースの一つとして捉え直していくことです。 

こういう場合、勤怠のチェックをさらに厳しくすることが必ずしも良い方向にはいかない、むしろ逆効果だということも、わかっていただけたのではないでしょうか。 

相手を理解することは、相手を容認することとは違います。理解をしたからといって、相手を正しいと認めて何も言えない、ということではありません。適切な対応、サポートをするために相手を正しく理解することが大切です。 

伝え方に興味がある方はぜひ、ご登録ください。読むだけで、伝え方に関する視点が増え、知らず知らずのうちにあなたの伝え方が変わっていきます。

産業医・伝え方改善コーチ・本間季里のメールマガジン

キンドル出版しました

産業医として、伝え方コーチとして、毎日たくさんの方の話を聞いてきた経験を元に、「自分が疲れない話の聞き方のポイント」についてまとめた本です。
相手の役に立ち、親身に寄り添うことで、温かい関係性を作りながらも自分が疲れずに関わっていくためのコツが書かれています。
特に、身につけるスキルよりも、手放すとうまくいく考え方に多くのページを割いて、わかりやすい事例とともに解説しました。

この記事を書いた人

アバター画像

本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください。