上司と部下のコミュニケーションのギャップ: 相談しやすい環境をどう作るか?

従業員の方が体調を崩したとき、必要があれば上司の方にお話を聞くことがあります。みなさん、異口同音におっしゃるのが、「何かあったら相談して!とは言ってたんですけれどね」。

上司としては「何かあったら相談して!」と思っていても、部下からするとその意図が伝わっていないことが多いんですよね。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるあなたのエネルギーを、本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

「何かあったら言って」で十分なのか?

一方、部下の方から「上司からは、何かあったら相談して!とは言われてたんですけれどね」という言葉がでることもしばしば。「その言葉で十分でしたか?」と質問すると、苦笑いしながら「十分じゃなかったです」。

つまり今普通にやっていることでは足りないということですね。相談しやすい環境を作るには、コミュニケーションのセットアップが大切です。

多くの部下は上司が忙しそうにしていると、自分の悩みや質問を打ち明けにくいものです。これは誰にでも経験があるのではないでしょうか?家庭で言えばあなたが子どもの頃、両親が忙しそうにしている、あるいは難しい顔をしていてピリピリした雰囲気のときに、相談できないと感じましたよね。

コミュニケーションのセットアップとは何か?

職場では上司がパソコンを操作したり書類に目を通しながら「大丈夫、ちゃんと聞いているから」と言われても、「本当に私の話を聞いてくれているの?」と疑問に思ってしまいます。言葉と表情や行動が一致しないとき(この場合ですと、「聞いているよ」という言葉と、実際のパソコンを作業しながら目を合わせないという行動の不一致)、私たちは非言語的な部分、つまりパソコンで作業しながら目を合わせないという行動の方からメッセージを受け取ります。部下はその態度に心を閉ざしてしまい、結局相談することができませんでした。

一方で、部下が歩み寄ってくるのに気づいたら目を上げて、上司が「どうした?」と声をかけるだけで、部下は安心して自分の悩みや質問を打ち明けることができるのです。

この手を止めて目を上げ、「どうした?」と声をかける。これがコミュニケーションのセットアップです。

リモートワークでのセットアップとは?

リモートワークの場合のセットアップも、コツは同じで2つあります。

1)画面に顔だしならば、笑顔です!

2)会話を始める前に笑顔で(!)、穏やかな声でこちらから声をかけることが大切。声も笑顔の声になります。部下はその声のトーンだけで「自分の話を聞いてくれるんだ」と安心感を得ることができます。

リモートの顔出しのとき、申し訳ないんだけれどもたいていの方って顔が怖い!いや、般若のような怖さではなく、無表情の怖さ・・・ここを変えるだけでも随分話しやすさが違うのになと感じます。

話しやすさは情報量や情報の質に関係してくるので大変重要なのです。

まとめ 

このようにコミュニケーションのセットアップ、つまり話を始める前の準備は非常に重要なのですよね。上司としては、部下が自分の話を安心してできるような環境を作ることが求められます。それは、目を合わせること、明るい声のトーンで声をかけること、そして何よりも部下の話をしっかりと聞くこと。これらを意識することで、上司と部下の間のコミュニケーションのギャップは小さくなるでしょう。

上司と部下の間の信頼関係を築くためには、コミュニケーションの質を高めることが不可欠です。日々のちょっとしたコミュニケーションに気をつけてみてください。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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