相手のニーズ(求めているもの)は言葉で確認しよう

東京スカイツリーが完成したのが2012年。もう10年以上前なんですね。コロナ禍で訪れる人は一時激減したでしょうが、また最近ではコロナの前同様、外国からの観光客が戻ってきたのではないでしょうか。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。

特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

スカイツリーまでの道順案内の光景

今はどうかわかりませんが、コロナ禍前は浅草からスカイツリーに寄っていく外国人観光客のために、たくさんのボランティアが道案内をしていました。その様子があるときニュースで流れていました。ボランティアの人達は良かれと思って、最速で浅草からスカイツリーに行ける地下鉄や電車を案内していました。

でも、じつはゆっくりと良い天気を味わいながら徒歩でスカイツリーに行きたい、その道順を教えてほしいという要望が多かったそうです。外国人らしいですよね。早く行くよりも、周辺の町並みや風景を味わいながらゆっくりと楽しみたいのでしょうね。

そして、ボランティアの人達は必ずしも地元の人ではなかったため、徒歩での道順を知らず、教えることができなかったという場面が映し出されていました。まあ、今ならば皆、スマホの地図アプリを起動させて歩いていくでしょうからこういう光景は無くなったかもしれませんね。

でも私はこのニュース、すごく日本らしい話だなと思ってみていました。

最速が喜ばれるとは限らない

私たちはついつい、最速の方法が良い、と思いがち。でも、回り道でも景色を眺めながら行きたい人もいるし、いつもちょっと違ったルートを楽しみたい人もいる。そのときその時で気分も違う。

最速が一番良いとは限らないんですよね。提供側は「最速のルートが良いに違いない」と思っても、受け手の方は違う要望があるかもしれません。

テレビに映し出されていた外国人観光客も、そのときは観光だったので景色を楽しみたいと思ったのであり、仕事のときは最速を求めるかもしれません。人は状況や場面で求めるものが変わってくるし、時間の使い方や優先度が変わってくるものです。

もしあなたが、休みを取って家族や友人と旅行をしているときも、仕事の時と同じような効率や最速のみを求めているとしたら、そのほうが心配かもしれませんよ。状況によって自分のギアを変えるということができなくなっている可能性があるからです。

相手は時と場合によって違ってくる

このニュースのように、いろいろな人のお話を聞いていると「無意識に最速であることにこだわっているなあ」ということがたくさんあります。

例えば、友人の家に遊びに行っているとき、あなたがコーヒーを飲みたくなったとします。気心知れた親友の家。あなたは「コーヒー飲みたいんだけどさ!」と友人に声をかけます。

友人「豆は棚に数種類ある。とっておきのもの買っといた。コーヒー豆はミルで手でゆっくり挽いて!おいしいから」

あなた「・・・・」

あなたは鼻白んでしまいます。あなたはただインスタントコーヒーでいいから、早くコーヒーを飲みたかった。←ちょっとカフェイン中毒気味なんです。

そんなときに豆から手で挽けと言われたら・・・

とっておきの前をゆっくりと手で挽いて、音や香りを楽しみたいときもある。インスタントコーヒーでいいから、今とりあえず早く飲みたいときもある。

ニーズはそのときその時違うんですよね。

相手のニーズを言葉で確認する

だから言葉で相手のニーズを確認することが重要なんです。コーヒーの例で言えば、「ちゃちゃっと飲みたい気分なの?ゆっくりと贅沢な時間を味わいたいの?それによって出すものが違うから」

「言葉でいちいち言わなきゃわかんないのかよ!」と思うかもしれません。

はい、言葉でいちいち言わなきゃわかんないんですよ。

「昔は言わなくても通じたんだけど、時代が変わったんだねぇ・・・」

いいえ!昔も今も言葉で言わなきゃわかんないのは変わってないんです!

変わったのは私たちの方。

昔も今もニーズは言葉で言わなくちゃわからないのは同じ

昔は喫茶店に入って座ると「コーヒー」あるいは「アメリカン」という人が圧倒的に多かった。そういうものだと思っていた。今日はココアが飲みたいと思っても黙っていた。

居酒屋に行って座ると「とりあえずビール」そういうものだと思っていた。あの炭酸シュワシュワ苦手なんだよな、と思っても周囲に合わせて黙っていた。

昔は私たちが黙っていただけなんです。そういうものかと思って。昔はただ、いまよりも考え方が乱暴だったんです。喫茶店ではまずコーヒー。居酒屋ではまずビール。

でも、喫茶店には他にも美味しそうなメニューがたくさんあるし、いまは一人ひとりが今飲みたいものを十分検討して選ぶようになった。コーヒーやビールは苦手だけれど、他のものなら楽しめる!一人ひとりがそう考え、意見を言うようになった。

だから、相手のニーズを言葉で確認しましょう。

「今日は話を聴くだけが良い?それともアドバイスを言った方が良い?」

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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