新人育成が上手な人が心がけていること

新人や異動してきたひと、中途採用で入ってきた人を張り切って迎え入れたけれど、どうも反応が薄い。何を聞いても「はい」「わかりました」「すみません」という一言で、話が続かない・・・そんなことはありませんか?

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焦るのはなぜかあなた

張り切って迎えた新規参入のメンバーがいまいち反応が薄い。どうしたら良いのか?あなたは焦ります。

そう、相手の反応が薄いと、なぜかあなたが焦るのです。新規参入したメンバーが焦るのではなく、あなたが焦ってしまう。

入社5年目の大河内さん(仮名)は、中途採用の大木さん(仮名)の指導係になりました。大木さんは全く異業種から入ってきたので、慣れるまでしっかりと相談にのるようにと上司からは言われました。

大河内さんは張り切って大木さんにあれこれと話しかけました。でも、大木さんの反応は今ひとつ。何を聞いても「はあ」「わかりました」「すみません」

 

おだてたり、持ち上げたりしていませんか?

大河内さんは焦ってしまいます。

大河内さんはなんとか大木さんの気持ちを盛り上げようとムキになって、大木さんをおだてたり、持ち上げたりしてしまいました。なんとか相手の反応を引き出そうとしたのです。

あなたも経験あるのではないでしょうか。あなたがその気でないのに、ぐいぐい押してこられたときの居心地の悪さ。

眼の前の商品を買うか買わないか迷っているときに、あなたの気持ちを無視して早口でまくしたてられて辟易したこと。

 

相手とペースを合わせることが大切

人は自分のペースを乱されると警戒し、引いてしまう生き物。それだけ、自分のペースを大切にするとも言えますね。

おだてたり持ち上げたりしても、心を開くどころか、かえって大木さんは大河内さんと距離を取るようになっていきました。そんなときに大河内さんから私は相談を受けました。

私は、大河内さんにしばらく大木さんのペースに合わせることを提案しました。だからといって放ったらかしにするわけではありません。

話すペース、動きなどを大木さんに合わせるように話したのです。これをペーシングと言います。 

大河内さんはせかせかと話すタイプ。動きも早く、テキパキといえば聞こえが良いですが、落ち着きがないとも言えます。一方の大木さんは、じっくりと考えてから返事をするし、動きも落ち着きがあります。

大木さんは大河内さんのせかせかとしたペースに警戒をし、気持ちが引いてしまっていたのかもしれません。

やり方を変えたら一定期間は継続してみる

私は大河内さんには、「一度大木さんのペースに合わせてみたくらいで諦めず、しばらく継続するように」と付け加えました。いつもと違うことをやってみようとする側(この場合は大河内さんですが)は一度でもすごく大きなことをしたと思うものです。

一方、大木さんの立場に立ってみると、一度くらいで大河内さんの変化はわかりません。

このズレがコミュニケーションの変化が定着しない理由の一つです。

大河内さんは初めての指導員の役割を仰せつかったこともあって、張り切って私のアドバイスを守ってくれました。

大木さんの変化

せかせかタイプの大河内さんが、ゆったりタイプの大木さんのペースに合わせるのははじめは苦労があったかもしれません。

でも、一週間くらいたって、少しずつ大木さんの変化を感じられるようになったということでした。

●大木さんの方から質問をしてくるようになった。
●ずっと無表情だった大木さんが表情豊かになった。
●ときには一緒にランチに行くようにもなった。 

今では大木さんはすっかり職場の戦力の一人です。そして、大河内さんは、新人を上手に育てる中堅社員と言われるようになっています。

ペーシングが万能ではありませんが、覚えておくと相手との距離が縮まります。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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