言わなきゃ伝わらないんですよね

産業医・伝え方コーチの本間季里です。

子供のころだけでなく、なんと社会に出て21世紀になっても、「言葉で言わなきゃ、わかんないよ!」と言うと「言われなきゃわかんないって何なんだ!子供じゃあるまいし!!」と散々言われてきました。

あなたも同じこと言われてきませんでしたか?

「言われなきゃわかんないって何なんだ!子供じゃあるまいし!!」は本当か? 

産業医としていろいろな人のお悩みを聞いていて、最近立て続けに聞いた言葉がありました。

「人は言わなきゃわからないし、伝わらないんですよね。」しみじみとしました 

働きすぎて体調を崩した人が、かなり元気になってから言った言葉です。仮にこの人を大河内さんとしましょう。

やっぱり「言われなきゃわからないとは何なんだ!」というのは間違いらしい。←ドヤ顔

もっと真意を聞きたくて、「私もそう思うのだけれど、あなたはどうしてそう思ったのか、もう少し教えてくれますか?」と聞いてみました。

人は言わないでいるとどうなるか?

大河内さんは少し宙を眺めるようにしてから、こんな話をしてくれました。

多分自分の体調がどんどん悪くなっていったころ、周囲の人も心配だったろうと思うんです。でも、自分が何も言わないのでそれ以上踏み込めなくて、遠くから見ているしかなかったと思うんですよ。

そこで、周囲の人が一歩踏み込んで!とか、ちょうどいい塩梅のおせっかい力を発揮して!というのは、やっぱり酷だと思うんです。自分から「苦しいです」「助けてほしいです」と言っていれば、周囲の人も手を差し伸べることができたんじゃないかなって思うんです。 

その数日後に同じような言葉を聞きました。

一方で

「言われないとわからないからきちんと伝えてほしい、なんてとても言えません」というお悩みもたくさん受けます。

「昔は言わなくてもわかったけれど、今の時代それでは通用しません!」という言葉もよく目にします。でも、私は本当は「昔も今も、言葉にしなくてはわからなかったし、わからないのだ」と思っています。

ただわたしたちは、昔はなんとなくわかった気になっていただけ。

わかった気になるのではなく、ちゃんと分かる、わかってもらうために、ことばでしっかりつたえることはたいせつですね。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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