まず自分。他人をいたずらに構っているほど、人生そんなに長くはない!

今日は私の過去の失敗談。まだ、前職のころのことです。

誰にでも「合わないな・・・」「苦手だな」「相容れないな!」という人はいるものですが、そういうときにどう対応するかという、恥ずかしい失敗談。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。限りあるエネルギーを本当に大切なことに使うためのコツをお伝えしています。中心はコミュニケーションや上手な時間管理・習慣化。

特にコミュニケーションでは、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴うなかでも協調していくための伝え方のコツをご提案しています。「頭でわかった」ではなく、実際に身につき日常で使えることを目指します。

いつもちょっとピント外れの学生

大学教員として、自分の研究や学生の指導などをしていた頃のことです。あなたの周囲にもこんな人いませんか?

学生の指導には二通りあって、第一に学部の学生、私の場合は医学部の学生、さらに総合大学だったので他学部の学生への授業など。第二に、大学院生の指導です。

その人を仮に佐藤さんとしましょう。彼女は大学院生でしたがちょっと変わったところがあって、一生懸命なんだけれども、よくピント外れのことをしていました。

そういう人なので、多分これまでにもいろいろなところで叱責を受けたり、ため息をつかれたり、彼女なりにいろいろと嫌な思いをしてきたのでしょう。いつも緊張している感じでした。

緊張しているし、よくビクビクおどおどしているようにも見えました。ときには感情を丸出しにして突っかかってくることもありました。

要するに、気持ちが安定していないので、職場でも「困った人」認定されやすい。

正しいことを言っているのに、私の評価まで下がるって・・・

私は彼女の指導教員でもなかったし、直接指導をすることはありませんでした。ただ、研究室の先輩として、教室内の運営に関わることには目配りをしていたので、彼女の言動も当然目に入っていました。

私は割と細かいことも目に入る方だったので、佐藤さんのピントがずれた行動が気になります。

イラっとするし、先輩として指導しなくちゃと思うし、当時は割とビシビシ注意していました。

だけどそうすればするほど、佐藤さんは私を避けるし、注意してもその場限りの返事に終始してしまうし、結局事態は良くなるどころかむしろ悪化している。

悪化するだけなら良いけれど、私自身は正しいことを言っているのに自分の評価まで下がってくる。

正しい指導をしているのになんで??

結局、「佐藤さんが普通にやるべきことができないのが悪いんじゃないの??」

「彼女にちゃんと指導しない上が悪いんじゃないの!上が指導しないツケがこっちに回ってきて、私の評価がさがるわけ???」

わたしの気持ちにチロチロと種火がくすぶって、周囲の人を恨むようになる。

友人の一言に猛反発

そのことをぼやいたら、ある人に「随分どうでも良いことで感情を上下させているんだね。」と言われました。

「どうでも良いとはなんだ!どうでも良いはずないだろう」と、当時のわたしは猛烈に反発しました・・・

あなたにもこういうことありませんか?いや、今思い起こしてもすごく恥ずかしいです・・・でも以前の私は結構こういう思考パターンでした。

イラっとすること、なんで?と怒りが湧くこと。それはそれで構わないと思うんです。だって、ペースが合わないとか、自分なら別のやり方をするとか、もっとこうしたほうが良いのに、ということたくさんありますよね。

ただ、問題は、自分の正しさを振りかざして、相手を変えようと躍起になっていること。ちょっと立場が違えば別の正しさがあるってこと、たくさんあると(今なら)思う。

自分の正しさを唯一の基準にして、相手を私の基準に合わせようとしている。相手を自分の思い通りに動かそうとしている。

それで、相手がやる気になるとか、奮起するという変化があればそれはそれで良いと思う。

でも、佐藤さんはより神経質に、より感情の浮き沈みが大きくなって、わたしは彼女をどんどん困った人認定をするようになったのです。

自分で気づいた自分の思考の癖

「結局それは、私自身が佐藤さんに振り回されているってことじゃない?一日の中で、佐藤さんのピントのずれたところにイライラしている時間があれば、その分を自分のやるべきことに回したほうがずっと良いのに・・・」

「私がしていたことって、相手を下げることで自分が上がったような気になるってことじゃないかな。」

正しさにもいろいろな正しさがあるということを自ら否定することによって、自分の生き方も狭くしていたのでは。」

「それによって相手を傷つけていたかも知れず、後々までその傷が彼女の人生に影響するかも知れない。彼女の人生を傷付けたり、彼女の自信を奪ったりする権利はわたしにはなかったよな。」

そういうことなんだよと、当時の私に言ってあげたい気持ち。そう思えたのは、それからかなりあとになってからでした。

きっかけは初対面のセミナー参加者の一言

そのきっかけは何かって?

あるセミナーに参加したとき、休憩時間に他の参加者の方とたわいない話をしていて、その方が「そうなのよ、相手には相手の事情があるからねぇ」といった言葉にハッとしたのです。

自分が自分なりに色々考えて行動しているんだからとやかく言われたくないのと同様、相手だって同じなんだな、と思ったのです。

当時の私は自ら佐藤さんに近づいていき、彼女のあら探しをして歩いて、自分の限られたエネルギーを無駄に使っていた。知人はそれを伝えたくて、「随分どうでも良いことで感情を上下させているんだね。」と言ったのです。

他人をいたずらに構っていないで、まずは自分。人生そんなに長くはないんだから・・・そんなふうに考えている今の私です。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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