「やる気が出たら始めよう」と思っているうちに、半年経ってしまったこと、ありませんか?
私はあります。手帳の隅に「朝の散歩」と書いて、そのまま二年ほど放置していました。書いた時点でちょっと満足してしまうんですよね。
嬉しいから笑うのか、笑うから嬉しいのか
さて、ここで有名な問いを一つ。
私たちはふつう、「嬉しいことがあったから笑う」と思っています。感情が先、行動があと。順番としては、とても自然に感じます。
ところが心理学には、これをひっくり返した考え方があるんです。「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」。ジェームズ=ランゲ説と呼ばれる、100年以上前からある説です。体の反応が先に起きて、脳がそれを見て「あ、今わたしは悲しいんだな」と感情をあとから付けている、という考え方ですね。
その後も、ペンを横向きに口にくわえて(つまり口角が上がった状態で)漫画を読んだ人のほうが面白く感じた、という実験が知られています。表情のほうが気分を作っているわけです。
もちろん、感情のすべてがこれで説明できるわけではありません。でも、私たちが思っているほど「気持ちが先」ではない。ここは押さえておきたいところです。
「やる気が出たら」を待っていると、一生始まらない
これ、職場でもまったく同じことが起きています。
「モチベーションが上がったら取りかかります」 「気持ちの整理がついたら、あの人と話します」
面談でよく聞くセリフです。(心の声:今はまだ、その気分じゃないんです)
お気持ちはとてもよくわかります。でも、やる気は取りかかる前には湧きません。手を動かしはじめて数分してから、あとから追いかけてくるものなんですね。順番が、逆なんです。
だから、「気合い」ではなく「仕組み」を作る
では、どうすればよいのでしょうか?
答えは、気持ちに手をつけるのをやめて、行動のほうが勝手に起きる仕組みをいじる。これに尽きます。
コツは三つ。
- ハードルを下げる。「30分走る」ではなく「靴を履いて玄関を出る」まで。やらない理由が思いつかないくらい小さくします。
- きっかけとセットにする。「歯を磨いたら、机に座る」。すでにある習慣にくっつけると、決めるエネルギーがいりません。
- 先に予定に入れてしまう。「時間ができたらやる」の、その「時間」は永遠にできません。
私の朝の散歩も、結局「起きたら、前の晩に玄関へ出しておいた靴を履く」に変えたら動き出しました。歩き出してしまえば、気持ちのほうがあとから「今日もいい天気だな」とついてくる。二年間ぴくりとも動かなかったのに、です。
考え方はあとから変わる、で良いのです
苦手な人への挨拶も、同じです。
「この人を好きになれたら、笑顔で挨拶しよう」——これだと、一生順番が回ってきません。逆に、先に口角を上げて「おはようございます」と言ってしまう。すると相手の反応が少し変わって、その変化を見た自分の解釈も、少し変わる。
納得してから動くのではなく、動いたから納得できる。 心が先じゃなくて、いいんです。
もし今、「気持ちが乗らないから手がつかない」ことが一つでもあるなら、明日の朝、そのうちのいちばん小さい一手だけ決めてみませんか?
考え方は、あとからちゃんとついてきますから。
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