Think Civilityー誰にでも、同じ丁寧さで接することが最も省エネ、低リスクとなる

2020年も下手をすると半分近く過ぎてしまいそうなのですが、昨年読んだ本の中で、最も印象に残ったのが、

「Think Civilityー礼儀正しさこそ最強の生存戦略であるー」クリスティーン・ポラス著、夏目 大訳、東洋新報社

です。以来、会う人会う人、たくさんの人にお勧めしています。

印象に残った点はただ一つ。顧客だから、目上の人だから、職位が上だから、新人だからという区別はせずに、誰に対しても等しくていねいな態度で接する文化がある組織は、中長期的に見ると成長し続けられる、というポイントです。

この本の面白いところは、礼儀正しさが組織の持続的な成長に寄与することを説明するために、その対極である無礼がいかに組織にとってリスクとなるのか、コスト増となるのか、マイナスになるのかについて、数字を上げながらかなりのページを割いているところです。また、組織に貢献し業績の高い人が、実際には無礼でハラスメントを行っている場合も多く、困ったことに周囲の人も「実績がある人だから」「会社に貢献した人だから」と何も言えないまま、結果的にハラスメントを放置しているということも多いものですが、そういう場合の対処の仕方についても述べられています。

一人一人が持つエネルギーは有限であり、いかにエネルギーの浪費を避けて大切なことにエネルギーを振り向けるかが重要です。そのために、相手によって態度を変える意思エネルギーを使わずに済むように、どの人に対しても一貫した丁寧さで接するわけです。丁寧さが組織の成長、リスク低減に直結するという主旨はまさに膝を打つ思いでした。

有限なエネルギーの浪費を防ぐという意味では、スティーブ・ジョブズをはじめとして大きな仕事をしている人の中には、いつも同じ服を着ている、という人も結構見かけます。それは、毎朝「今日は何を着ていこう。」という意思エネルギーを使わずに済むように、ということもあるようです。それほど、一つ一つの行動に対するエネルギー浪費に敏感になって、無駄なエネルギー浪費はせず、本当に大切なことにエネルギーを集中して振り向ける、ということのようです。

対人関係は気を使うもの。だとすると、不必要にエネルギーを使わずに済むよう、どんな相手にもどんなときにも、基本的に同じ丁寧さで接する、それに勝る方法はないように思います。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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