「褒める」vs「励ます」

こんにちは。伝え方改善コーチの本間季里です。あなたのコミュニケーションをより良くするために、あなたの性格を変えるのではなく、伝え方を変えるサポートをします。頭でわかった、ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

褒めたほうがいいのか、褒めるのはだめなのか?こういう議論をよく目にします。一昔前は叱ったほうがいいのか、褒めるのがいいのかという極端な議論でしたから、随分変わったなあ、と思います。褒めるという言葉をどのように定義づけているのかによっても、議論の方向性は変わってくるはずですね。私が日頃心がけていることは「励ます」「支持する」「あなたから与えられたこと(情報、知識、フィードバックなど)を喜んでいると伝える」ということです。

私が多用する言葉は「おお、そうですか!」「いいですね〜」「教えていただいて(話していただいて、フィードバックいただいて)ありがとうございます」といったところでしょうか。相手が話したことを良いとか、悪いとか、正しいとか間違っているとかジャッジせずに聞くようにしているので、自ずとこういう言葉になっていくのかなと思います。

これは褒めている言葉かと言われると違う気がします。ただ、合いの手を入れているに近いかもしれない。でも、単なる合いの手とも違って、励まし、支持の感情が含まれていると感じています。「正しいことだからやってみたら?」というのではなく、「あなたが今、そう考えているのであれば、まずはやってみたらどう?」という感じ。そして、「やってみたら逆風が強くて後ろに倒れそうになったら、私がそっと倒れないように背中を支えますよ」という気持ちを込めて。それは相手の存在を承認していることに繋がります。

また、対話の中で、自分が知らないことや気づいていなかったことに気づけるということもたくさんあるので、そのときには「それは気づきませんでした。教えてくださってありがとう」と伝えます。すると自分が何気なく話したことが、相手の役に立ったことに驚かれる方も多いけれど、その時は皆さん、たいてい少し嬉しそう。そんなとき、思っていることを言葉にして伝えるって大切なんだな、と感じます。

人は、誰しも存在を認めてほしいものだし、誰かの役に立ちたいと思っているもの。上から良し悪しを伴った意見を言うのではなく、同じ目線で合いの手を入れる。そんな会話の中から「褒められた」ではなく、「励まされた」と感じ、自分に、そして自分の判断に自信が生まれ、勇気を持って一歩を踏み出せる気がするのです。

「褒める」には、褒める側の判断、ジャッジが色濃く反映されており、「励ます」には当人の判断を支持する、というニュアンスがあるように私は感じています。したがって、判断が相手なのか(褒める)、自分(励ます)なのかが大きな違い。

自分で考え、判断できるようになってほしい、ということなら、「励ます」に軍配かな、と思うのですが、いかがでしょうか?

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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