ロールプレイの持つちから

こんにちは。伝え方改善コーチの本間季里です。あなたのコミュニケーションをより良くするために、あなたの性格を変えるのではなく、伝え方を変えるサポートをします。頭でわかった、ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

「あなたが言っていることは正しいけれど、それをアサーティブに言えれば良いのにね」と言われて、「アサーティブってなんだ?」と思った私は、自分が企画に関わったセミナーで講師を呼んでアサーティブなコミュニケーションのセミナーを開催しました。当時、私は大学教員として、研究や教育をしていました。

セミナーの中で、私は主催者側としてデモンストレーションのお手伝いをしました。大学でよくありがちな事例として「教授が、大学院生のミスを厳しく叱り飛ばす中堅教員(私の役)の叱り方を注意する」という場面設定にしました。部下である私に、アサーティブに注意をする教授の伝え方の変化が見どころ。叱り飛ばされる大学院生役には、実際の私の教室の後輩にお願いしました。

教授役には普段穏やかで、当日セミナーの司会をしていた他学部の教授が引き受けてくれました。普段穏やかな教授だったので、デモンストレーションでも部下役の私にビシッと「大学院生に対する注意の仕方が厳しすぎやしませんか」と注意することができません。まず声が小さい、言葉を言い切ることをせず「XXですが、Xは良いと思うのですが、でもXXXは○だと思うのですけれど、、」といった調子です。話しているうちに徐々に後ずさりもしていきます(私が言い返すたびに、どんどん前に進み、教授との距離が近くなるためではあるのですが:汗)。一方の私は、相手のその声の調子、後退り、言い切らない話し方全てに反応し、「だいたい先生がそんなだから、大学院生が教室のルールを守らないんじゃないんですか!」と、どんどん強い調子になっていきます。

講師は教授役の教授の後ろに立ち、「言葉は短く、言い切りましょう」「もう少し声を大きく」「後退りしていますよ」と的確にアドバイスを伝えていきます。参加者の皆さんはときに笑いながら、徐々に会場の空気が真剣味を増していきました。テイク1からテイク2、テイク3とうつるに従って、教授役の人の伝え方がわかりやすく変化し、相手、つまり私の立場や良さも理解した上で、でもその叱り方ではもったいないよという気持ちも言葉から伝わってくるようになり、その変化に参加者の驚きがひしひしと伝わってきました。

テイク3のあとで、講師の方から「相手役の本間さんはどう感じましたか?」と聞かれ、思わず「ああ、教授は私のことを理解してくれているんだ、と納得してしまいました」と感想を述べました。テイク1では「優位に立っているのは私!教授はなんにもわかっていない」と軽々と論破できたと笑っていたのに、です。このとき、伝え方を変えることで、相手の感情(このデモンストレーションでは私の感情)もこのように変化するということを実際に体験し、「アサーティブに伝えるってすごいな」と実感したのでした。と同時に、ロールプレイの持つちからについて実感したのでした。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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