マイクロマネジメントの影響:する方とされる方の気持ち

こんにちは。伝え方改善コーチの本間季里です。あなたのコミュニケーションをより良くするために、あなたの性格を変えるのではなく、伝え方を変えるサポートをします。頭でわかった、ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

人は「貢献感」を感じ「自分に価値がある」と思える時にだけ勇気を持つことができる。

アルフレッド・アドラーの言葉です。誰しもが、他者の役に立てたと感じるとき、貢献できたと思えるときに、喜びや自分の存在意義を感じられるものです。

ところが上司や親からいわゆるマイクロマネジメント、過度に干渉したりこと細かく指示をだしたり、進捗を頻繁に確認するといったことを受けると、この他者への貢献感と自分に価値があるという思いを感じることができません。私たちは自分で選択したことに対して、より強く貢献感を感じるからです。

中には心身の不調をきたしてしまう場合もあります。心身の不調まで目に見えなくても、やる気を失い「どうせ自分で考えたところでこと細かに指示が出て、そのとおりに動かないとあれこれ言われるだけだし」と指示待ちになってしまいます。

これでは生産性が上がりませんし、本人の成長にも繋がりません。こういったマイクロマネジメントは部下にとっては良いことがまったくないわけですが、こういうマネジメントをしていて上司にとっては良いことがあるのでしょうか?もし、上司には良いことずくめと言うならそれはそれでいいでしょう。

しかし、マイクロマネジメントをしている方にとっても、良いことはありません。こと細かに指示を出したり進捗を確認することに時間が取られますし、部下が育たず指示待ちなのでいつまでたっても業務を任せることができません。極めつけは、上司と部下の間に信頼関係が構築されないことです。マイクロマネジメントは部下に対して「あなたの力を信じていない」というメッセージを同時に発してしまうことになり、一方で部下は上司に対して萎縮した気持ちを抱いてしまうため、信頼関係が生まれにくくなります。

また、相手に要求していることはブーメランのように自分にも戻ってくるものです。相手に許さないことは自分にも許されない。相手に事細かく要求をすることは自分にも同じように細かく要求をしていることにも繋がる。これは苦しい。

上司には上司の言い分があるものですが(たいてい、相手に問題があるから、これが管理するということだと思っている)、一旦言い分を横において、「自分にとって部下に任せるということはどういうことか」「なぜ自分は部下に任せることができないのか」「こと細かに指示を出す自分にとっての意味はなにか」をじっくりと考えてみると良いでしょう。

こういうことは自分ひとりではなかなか思考が進まないものです。なぜなら誰にでも自分の思考の癖があり、客観的になることは非常に難しいことだからです。公平な視点で助言をくれる友人、上司、あるいはコーチなどと一緒に考えてみることをおすすめします。自分も部下も、貢献感を持ち、自分の価値を信じられ、勇気を持てるマネジメントの方法を探してみませんか?

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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