優秀で成果を出しているひとが度を越した言動をしたら、何も言えないという考え方

産業医をしていてため息が出ることの一つが「これはハラスメントだと思うのですけれど、でも、(ハラスメントをしている)あの人は大変優秀で成果も出している人だから、だれも言えないんですよ」ということです。

でも、このフレーズ、ずっとなにか違和感があったんです。いえ、このハラスメント事例で聞くこの言葉そのものに違和感はもちろんあるのですが、今話したい違和感はデジャヴ感というようなものです。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

そう、小学校の頃から、もしかすると幼稚園・保育園の頃から、私達が社会性を持ち始めると同時にこんなこと言っていませんでしたか?

「柳橋さんがやっていることは良くないことだと思うけれど、でも柳橋さんは優秀だから言えないよね」

「やっこちゃんはいじわるしたけど、でもやっこちゃんは笛が上手に吹けてすごいから・・・」

こうやって文章で書くと「笛が上手に吹けてすごいから、なんやねん!!」と突っ込み入れられます。

でも、その場で「笛が上手なことと、意地悪したことは全く別のことだよね。笛が上手っていうことはすごいよね。たくさん練習しているもんね。でも、意地悪したことは良くないね。そのことはちゃんと伝えてみても良いんだよ」と、あなたは大人として言えているでしょうか?

大人が整理してみせる必要がありますよね。

しかし、ついつい「説明には時間がかかるから」「疲れているから」「そんなささいなことで」「まあ、波風立てなかったんならそれでいいや」と流してしまう。

こどもは、自分が本来比べられないこと(意地悪と、笛が上手)を比べて自分を納得させたという考えに、修正を入れる機会を失ったままになってしまいます。

そうしておとなになっていくと、

「これはハラスメントだと思うのですけれど、でも、(ハラスメントをしている)あの人は大変優秀で成果も出している人だから、だれも言えないんですよ」

という、本来比べられないこと(ハラスメントと取れる言動をすることと、優秀だということ)を並べてしまう、この言葉につながっていくのではないかな?

それが私のデジャヴ感の正体なのでは?

だから私はせっせと、

「その人が優秀なことと、度を越した言動をすることとはまったく関係のないことですよね」

「今のあなたの言葉を聞いていると、『優秀で、これまで成果を上げてき人ならば、何を言っても良い、何をやっても許されるとあなたは考えている』というように聞こえるのですが、その解釈でいいですね」

と念押しすることをしています。

子どもの頃に考え方に修正が入る機会がなかったならば、いま修正すれば良い。子どもの頃ほど素直に入ってこないかもしれないけれど、修正はいつでもできる!

もし、あなたの周囲で、比べられないことを比べて

「やっこちゃんはいじわるしたけど、でもやっこちゃんは笛が上手に吹けてすごいから・・・」

みたいな言葉を聞いたら、間髪入れず!「それとこれとは違うよね」と整理してあげてください。子どもだけでなく、同僚でも後輩でも友人でもパートナーでも・・・

うっかり比べられないことを比べて、自分を納得させているという思考習慣って結構あるんですよね。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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