環境が大きく変わるときに意識したい2つのステップ

前日まで何ヶ月も蕾だった我が家のモクレンが、ある日一斉に咲きました。

前日に庭をぐるりと見て回って、たしかに「もうじき咲くなあ。それにしても何ヶ月こうしてるんだろう・・・」と思ったので、前日は蕾のままだったのは確か。

翌朝、朝起きてカーテンを開けて、視界の隅っこに白いものが・・・「ええ!一斉に咲いてる」

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

昨年は数輪しか咲かなかったモクレンでしたが、今年はたくさん花をつけました。一昨年の庭の全面リフォームで我が家にやってきたモクレン。うちの土に慣れ、根を張り、家の土の栄養分に適応する術が身について今年、たくさん花をつけたのだろうなと思います。

「たくさんの花を咲かせる」というアウトプットのために、2年近くのインプット(うちの土に慣れ、根を張り、家の土の栄養分に適応する)の時期が必要だったんだなあ。

年度替わりのこの時期、進学や就職など新しい環境となる人もたくさんいるでしょう。また、仕事では新しい部署への異動の時期でもありますね。今までの仕事と全く違う業務となるひともいるでしょう。

こういう新しい環境に置かれるとき、私たちには大きなストレスがかかります。

当然です。脳はもともと変化を好まないし、変化を脅威と捉えるものだから。

この仕組みを知っていると、ストレスに喘いでいるときに捉え方が変わってきます。「こんなに緊張しているのは実力がないからだ」とか、「他の人はサッと適応できているのに(実はそう見えているだけなのですが)自分はだめだ」などと思わなくなります。

いまのストレスは、大きな変化を脳が脅威と捉えているから起きているもの。もう少し経って環境に慣れてくれば落ち着いてくる、と思えるからです。これが第一段階。

次に、すこし慣れてきて数ヶ月から半年くらいは会議でも発言できなかったり、どうってことのない作業にやたらに時間がかかったりして「自分はどうしちゃったんだろう」と不安になるかもしれません。

例えばこんな感じ。新入社員ならば、意見が出てこなくても仕方がないと、自分でも思えるかもしれません。ところが、何年も同じ会社で働いていて全く新しい部署への異動となると、自分の受け止め方がこうはいきません。

「前の部署ではテキパキと意見を言えたのに。今の自分はどうしちゃったんだろう」

「こんなふうだと、役に立たない人が入ってきたと思われるんじゃないか?」

と、次から次に不安が頭をよぎります。自分のこれまでの成果に対して今の自分が不甲斐なく思えて、うろたえてしまうのです。

でも、この時期は新しいことに対するインプットの時期。この時期が第二段階です。インプットの時期がすぎてはじめて、アウトプットが始まります。

新しい環境に慣れていくまでに、私たちにはこの2つの段階が必要だということです。

第1段階:脳が大きな環境変化を脅威と捉えて、大きなストレスを感じる時期

第2段階:新しい環境でインプットに励む時期

ではその仕組みがわかったところで、環境変化を多少は上手に乗り切れるかもしれないけれど、インプットの時期に何の成果も出さないで良いのか?と思ったかもしれませんね。

インプット中心になるとは言っても、いままでそれなりに仕事をしてきた人がいきなり何一つできなくなるということは考えにくい。「私は何一つできていない」と感じて周囲に訴えるのは、実は「最高レベルの自分と比べて」不甲斐ないから。

どんな人でも調子の波があります。私はいきなりヒットを打とうとせずに、ルーチンワークなどに精を出しながら時期が来るのを待とうとアドバイスしています。ルーチンワークって馬鹿にできないんですよ。誰かがやらねばならない仕事だし、多くの人は面倒に思うのでやってくれる人がいれば感謝されるし、自分でも小さいかもしれねいけれども貢献しているという気持ちを持つことができます。

同時に、異動したばかりで簡単なこともわからないということを自己開示して、わからないことを周囲に聞くことも大切ですよね。

私自身、こうやって大きな環境変化のストレスを周りに知られることなくそっと乗り越えたことがあります。

知識は理解を深めるし、理解は感情がむやみに肥大化してしまうのを防いでくれます。新しい環境に入っていくとき、ぜひ思い出してほしいと思います。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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