注意するときに注意すること:いつもか、いつもじゃないか論争していませんか?

改善してほしいことがある、これは注意しないといけない。改善してほしいと何回も指摘しているのに、言い訳ばかりでちっとも変わらない。こんなときはたいてい、あなたがすでにイラッとしていたり、腹を立てていることが多いのではないでしょうか?相手に注意するときに、こんな間違いをしていませんか?

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれるまでしっかり寄り添います。

職場でも、家族の間でもよくあるこの問題、よくよく話をきいてみると、起きている問題をあまりにもざっくりと端折って伝えていることがあります。

例えばこんなことです。

「田中さんは、いつもこの資料作成の締め切り、遅れるよね。困るんだ。」

あなたが田中さんに理解してほしいこと、行動を改めてほしいことは「資料作成の締切を守って欲しい」ということですよね。ゴールはここです。

あなたには「いつも遅れている」というように見えているのかもしれませんが、正確には担当になってからこの半年間で、当初はなんとか締め切りを守れていて、直近3回遅れたのかもしれません。

そのときに、ざっくりと「いつも」と端折ってしまうと、相手はそこに反応してしまいます。

「いつもじゃない!この人は全然わかってくれていない」と反応してしまうのです。下手をすると「いつもか、いつもじゃないか」というところが論点になって、その先の本当に解決したいこと、つまり「田中さんに締め切りを守って欲しい」に話が進まなくなります。

あなたは余計に腹を立ててしまう、田中さんは心を閉じてしまうということになりかねません。

ではこんなとき、どんな伝え方をしたら良いでしょうか?ここは落ち着いて、相手も納得するような正確な事実を伝えましょう

「このところ3回続けて締め切りに遅れているよね」

「このところ何回か」「最近続けて」などの言い方に変えるだけでも、相手には受け取りやすくなることもあります。

あなたが子どものころ、「どうしていつもいつも、頼んだこと忘れちゃうの!!」と叱られて、ムカついたことありませんか?心のなかで、「ちゃんとやったことだってあったじゃないか!」と叫んでいませんでしたか?「なんでわかってくれないの?」「なんで、認めてくれないの!」

こういう気持ちになってしまうと、その先に話が進みません。せっかく伝えるなら、ゴールまでちゃんと話ができること、そして相手が行動を変えてくれるように伝えましょう。

この記事を書いた人

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本間 季里

少人数の会社でも産業医が必要な理由
産業医・伝え方コーチ:本間季里

「社員一人ひとりが健康的に働き、会社が成長していける職場を目指したい」という理念のもと、心身の健康を支える産業医です。

少人数の職場では、産業医のサポートによる健康管理や職場環境の改善が会社の成長に直結します。そこで、従業員50人未満の会社の産業医業務に特に力を入れています。

私の産業医としての強みは、傾聴、質問、わかりやすいアドバイス、的確な判断の4つのアプローチを組み合わせ、経営者と社員の支援を行っています。10年以上の経験を持ち、日立製作所、長崎大学など、幅広い業種で産業医を務めてきました。

企業規模に関わらず、経営者が経営に専念でき、社員が心身ともに健康で働ける職場の実現を目指します。

資格:日本医師会認定産業医・医学博士
アサーティブジャパン会員トレーナー
コーチングプラットフォーム認定コーチ
Gallup社認定ストレングス・コーチ

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