名前を覚えることも存在承認の一つ

こんにちは。コミュニケーションスキルと自分の強みを活かすことにより、ストレス軽減のサポートを行うストレスマネジメント・コーチの本間季里です。 

少し前の話ですが、7月期のドラマの一つが、病院薬剤師を描いた石原さとみさん主演の「アンサングシンデレラ」でした。第一回を何気なく見ていたところ、病院内の会議で医師が主人公の薬剤師が越権行為をしていると糾弾するシーンがありました。その医師は結局会議の途中で糾弾するのをやめるのですが、その時「まあ、あの薬剤師さんも一生懸命にやってくれたことなので、、、、」というようなセリフを言い、そのときに薬剤部の一人が、「『薬剤師さん』ではありません、『葵みどり』です」と、糾弾された薬剤師は葵みどりという名前を持った一人の人間である、と堂々と主張する場面がありました。 

ドラマ内で、医師が「あの薬剤師さん」と言ったのもよくあることだなと思ったけれども、これは医師の傲慢さというわけではなく、「派遣さん」「そこの彼女」「ちょっとそこの彼」「あの子」など、名前を呼ばずに済ませることは日常のあらゆる場面で起こっているなと思いました。もちろん、関係性が非常に薄い場合、個別の名前を知る由もないということは多いかと思いますが、ある程度の関係性がある場合、しっかりと名前で呼ぶことも存在承認の一つになります(承認の関連記事はこちら)。 

海外に行ったとき、名前を聞かれ、なんと呼んだら良いのかを聞かれ、そして忘れずに呼び名で呼んでくれる人が多いことに驚いたものでした。自分がOne of Themではなく、一人の個人として扱われる心地よさを感じました。 

心理学者のアドラーは、「自分に価値があると思えるときにだけ、勇気を持てる」と言っています。しっかりと相手の名前を言うことによって「自分の名前を覚えていてもらえたこと」が自分の存在を承認してもらえたと感じ、自分の価値を実感できることにつながっていくのだと思います。「そこのあなた」ではなく、相手の名前をぜひ。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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