大きな不安への対処法:ドラマに学ぶ視点の変え方

時々、ブログやメルマガでも話していることですが、私は国内・海外問わず、ドラマを見るのが好きです。ドラマというのは不特定多数が見ることを前提としています。特に最近のドラマはコンプライアンスの観点で事前に色々なチェックが入っていることが多く、伝え方、相手に向き合うスタンスやマインドの点で、大変参考になることが多いものです。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

海外ドラマを見ると宗教が非常に身近であることがわかります。怪我や病気で登場人物が緊急入院をする病院のシーンでは、しばしば聖職者が心配をしている家族に声をかけるシーンが描かれます。

「祈りましょう」

「なぜこんなことが起きたのか、私達にはわかりません。神はおわかりです」

私はずっと、「聖職者からこんなこと言われて不安が消えるわけでもないし、意味あるのかな?」

「こんなこと言われて、そのとおりだと納得できるものなのかな?」

と感じていました。

そもそも、聖職者自身もなにかあると「祈りましょう」「人には理由は分からなくても神はおわかりです」ばかり言って、つらくならないのかな?とも思っていました。

でも、ある時別の捉え方があるのでは?と気づいたのです。

不安で押しつぶされそうなときに、祈るということに意識を向ける

突然、身近な人が病院に運ばれたと聞いたら、平静ではいられません。どんどん良くないことを考えて、不安で胸が押しつぶされそうになりますよね。

そんなとき、他に意識を集中させられることがあれば、目をそちらに向けて自分を支えることができます。聖職者から促されて、納得しようがしまいが祈るという行為に集中する。一緒に祈る。そのように、不安に押しつぶされないために「祈るという行為に集中する」というのは、すぐに不安に巻き込まれてしまう弱い人間が見出した素晴らしい方法のひとつなのではないか。

マインドフルネスも共通のポイントがあります。意識が他に向いたら、今目の前のことに意識を戻す。別に聖職者でなくてもいいし、祈りでなくてもいいのです。時々しんどい時だからこそちょっと体を動かす、筋トレをするというクライントがいますが、それも同じかもしれません。

人にはどうにもならない理不尽なことがあるという厳しい現実をともに受け止める

もう一つよく見かけるシーンが、「どうして私の身にこんな理不尽なことが!」と嘆く登場人物に、聖職者が「私達人間には到底わからないことです。わかっているのは神だけです」というようなことを諭す場面。

正直なところ、長い間「調子いいこというなあ」とか、「それで納得できるものなのかなあ」「どこまで本気でこういうことを信者に言っているのかな」なとど不遜なことを考えていました。

こう言われたからといって、すぐに信者が納得できるわけではないでしょう。でも、神を引き合いに「我々人間にはどうにもならないことはある」という厳しい現実を再認識する。実際、わたしたちにはどうにもならないことは日々頻繁に起きているのが現実です。その度に私たちは怒り、嘆き、地団駄を踏み、そしてヘトヘトに消耗していきます。

そんなときに「悲しいかな、人間の私達には今はわからないけれども、神にはわかっている理由があるのだ」と、激しい感情の渦に飲み込まれそうになっているひとの視点を変える。そしてあなたは決して一人ではない、というメッセージを伝えることにもなる。こういうメッセージはときに大きな救いになるんじゃないのかな。

神の存在くらい大きくて遠いものを設定して視点を変える。今目の前の現実が大きくつらいものであればあるほど、大きく視点を変えていくことで飲み込まれそうな現実を前に持ちこたえる。よく考えられた仕組みだなと感心しながら海外ドラマを見ています。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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