「いままでロクに挨拶もしなかった人が、急に挨拶するようになったら周囲は気持ち悪がりませんか?」

「いままでロクに挨拶もしなかった人が、急に挨拶するようになったら周囲は気持ち悪がりませんか?」

いつも不機嫌そうな態度の管理職の態度に参ってしまって体調不良になった社員について、幹部と話をしました。管理職の不機嫌そうな態度は結構徹底していて挨拶もろくにしない。

こんにちは。産業医・伝え方コーチの本間季里です。世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかでも協調していくための伝え方をご提案します。「頭でわかった」ではなく、実際にやれることを目指します。

急に変わったら周囲が引くよね

管理職にばかり改善を求めるのもフェアではありません。部下の方にも変えられるところはなんだろうという話し合いをした上で、この管理職にも納得してもらえる改善はなんだろうと相談していたときのことです。

「でも、急に彼が挨拶したら周囲はびっくりして引きますよね」と幹部が言いました。

そう、引きます。引くだけでなく警戒します。それは脳の仕組みがそうなっているのでしかたがありません。仕方がないなら、警戒されること前提で考えなければなりません。頑張ってみた自分に対して周囲が警戒している姿を見て正直がっかりするし、「なんだよ!意を決してやってみたのに、その結果がこれかよ!」と落胆します。

でも、人間はそもそも見た目にも分かる変化には警戒するようにできています。それが本能なのです。いつも不機嫌だった上司が急に上司の方から挨拶した!というのは通常、良い変化ではあるものの、脳は良い変化と悪い変化を区別することはできません。ただ、「いつもと違う」ということに対してアラームを発するだけです。

このアラームが発したときに私たちは「なにか下心があるのではないか?」「いったいどうしたんだ?」と後付で理由をつけますが、その根っこはいつもと違う、ということにアラームが発せられているのです。

変わろうとやってみたのに警戒されたその先に

ほとんどの人が新しいことをやってみて警戒されたときに、気持ちがくじけて「やっぱり頑張ったってこういうことだ。やーめた!」と試みをやめてしまいます。

本当は「人の脳の仕組みはこういうことなんだから警戒がとけるまでやり続けてみて、それから考えよう」とあらかじめ予想しておけばベストですよね。脳の仕組みなんだから、と理解しておけば想定の範囲内ということになります。

もう一点、「やーめた!」という気持ちになったら、誰のためにいつもの自分のやり方を変えてみようと思ったのか、今一度立ち戻るときです。

称賛が欲しくて?

上から言われたから?

どれも本当でしょう。でも、それをやってみるという行動に移したのは自分です。だから相手が警戒したからといってその態度一つでやめずに少し続けてみましょう。しばらく続けてみると、相手の警戒が融けていきます。

はじめは「いつまで続くのかな?」、もう少し経つと「結構続いているな」、さらに続けると「へえ、本気なんだな」、気がつくと変化が当たり前になって、「いつまた元に戻るのだろう」という警戒はなくなって、受け入れる時期が来ます。このように警戒が融けていくのも段階的なのです。

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この記事を書いた人

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本間 季里

産業医、伝え方コーチ、ストレングス・コーチ

大学卒業後、小児科医・免疫学の基礎研究者を経て、2017年より、世代の違い・価値観の違い、利害の対立など、葛藤や緊張を伴う難しい関係性のなかで、それでも妥協点を見つけて協調していくための伝え方を提案し、個人と組織の両方にアプローチできる産業医・伝え方コーチとして活動中。

セッション数は7年間でのべ3000回以上、これまで300名を超える方々に伝え方の講座や研修を提供し、満足度が90%以上です。

資格:医師・医学博士・日本医師会認定産業医
NPO法人アサーティブジャパン会員トレーナー

Gallup認定ストレングス・コーチ

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